日本ペイントグループが塗料など輸出貨物の海上輸送を対象に、コンテナへの船積(積載)計画を自動作成するAI(人工知能)エージェントの活用を進めている。2026年5月までに、従来の船積効率を維持しつつ1カ月当たりの計画作成時間を76%短縮した。熟練者の経験に依存していたが、大規模言語モデル(LLM)と独自開発のアルゴリズムを組み合わせたツールに置き換えた。
同社は2026年2月にAIエージェントの本格運用を開始した。塗料の貿易事業を手掛けるグループ会社、日本ペイントマテリアルズの輸出業務を対象とする。AIエージェントが海外現地法人から受け取った製品の注文データを基に、複数の貨物をどうコンテナに配分して積み込むかなどを計画・提案する仕組みだ。
船積計画は「パズルのように複雑」
日本ペイントマテリアルズの貿易部物流グループの佐野真理子マネージャーは今回のプロジェクトの発端について「システム部門に『プランニング(船積計画)にかかる時間をどうにか削減できないか』と持ちかけたのが導入のきっかけだった」と説明する。
船積計画は海上輸送や寄港地の規制、各国の法制度といった様々なルールに基づいて作成する。例えば塗料は「危険物」に該当するものもあるため、海上輸送での危険物を取り扱う規定である「IMDGコード」などに準拠する必要がある。さらに、倉庫ごとの運用ルールや貨物を積み合わせる際のきめ細かい条件への対応も求められる。
日本ペイントマテリアルズの貿易部ではこうした複数の条件を考慮し、どの条件を優先するかを整理しながら船積計画を立てていた。佐野マネージャーは「パズルのように複雑な業務だ」と表現する。
複雑な規制に準拠した船積計画を立てるには熟練のノウハウが必要となる。このため人手頼みの作業や業務の属人化が課題となっていた。従来は5年以上の経験者を中心に、注文データのPDFを印刷してマーカーを引きながら船積計画を立てていたという。
日本ペイントGはこうした課題を解消するため2025年5月、AIエージェントの構想に着手した。このプロジェクトでは日本ペイントマテリアルズのほか、グループ会社の国内事業支援を担う日本ペイントコーポレートソリューションズも参画。2025年8月にAIエージェントの開発を始め、日本ペイントマテリアルズ貿易部からのフィードバックを基に改良を進めて、2026年2月の本格運用にこぎ着けた。
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