不可能だった「ロングテール業務」のシステム化、AI活用で突破口開く

日経XTECH / 4/11/2026

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Key Points

  • AIによるソフトウェア開発コスト低下によって、従来はシステム化が難しかった「ロングテール業務」(少人数・多種多様な属人的業務)も自動化の対象になり得る、という期待が高まっている。
  • セブン&アイやクレディセゾンの発言として、AIの台頭でデジタル化・自動化の難易度が下がり、小規模な関与人数の業務でも自動化が可能になる見通しが示された。
  • システム化のROIは削減できる労働時間総量に依存するため、これまで少担当業務のシステム化が採算に乗りにくかったが、AIで開発コストが下がることで前提が変わる。
  • 一方で最大の課題は要件定義であり、暗黙知の言語化が必要なため、LLMをインタビューに活用して要件を形式知化する動きが始まっている。

 AI(人工知能)によってソフトウエア開発のコストが低下すれば、従来はシステム化の対象外だった「ロングテール業務」についても、システム化して自動化できるのではないか――。日本の先進的なユーザー企業の経営トップやCIO(最高情報責任者)が、こうした期待を抱き始めている。

 ロングテール業務とは「企業の内部に数多く存在する、担当者の少ない多種多様な業務」のことである。企業の内部に存在する業務を担当者の数で整理すると、担当者が多い業務の数は少なく、担当者が少ない業務が多数を占めるというグラフを描くことだろう。

ロングテール業務のイメージ
ロングテール業務のイメージ
(日経クロステック作成)
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 このグラフにおいて長い尾(ロングテール)の部分を占めている業務が、ロングテール業務である。

 日経BPが2026年3月3日と4日に開催した「AIリーダーズ会議2026 Spring」のパネルディスカッションに登壇したセブン&アイ・ホールディングスの西村出常務執行役員CIO兼グループDX本部長は「もともとシステム化が難しかった業務、非常に属人的だったいわゆるロングテールの業務が、AIの台頭によってデジタル化できるようになった」と語っている。

 またクレディセゾンの水野克己社長は2025年10月に開催した記者説明会の場で筆者に対して、「今までは数百人以上が関わる作業でなければ、ソフトを開発して業務を自動化できなかった。しかし今はAIを使えば、1人や2人しか関与しない業務であっても業務を自動化できる」という旨の発言をしている。

 システム化の効果は、それによって削減できる労働時間の総量によって測られるものだ。そのため従来は担当者が少ない業務をシステム化しても、コストに見合う効果を得るのは難しかった。AIによってシステム化のコストが下がれば、ようやくロングテール業務のシステム化が可能になる。そんな期待が高まっているわけだ。

ロングテール業務システム化の課題は「要件定義」

 ただし、ロングテール業務のシステム化には様々な難しさもある。コーディングエージェントによってソフトウエア開発のコストは下げられても、要件定義をどうするかという問題が残るからだ。

 要件定義は一般に、業務を担う現場の担当者へのインタビューによって進められる。担当者だけが持つ暗黙知を言語化して形式知に変える作業には、それ相応のスキルが求められる。そこで最近は、言語の扱いに優れたLLM(大規模言語モデル)をインタビューに活用する動きも始まっている。

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