ラピダスCTO、1ナノでTSMCと「半年差に」 まずは信頼獲得から

日経XTECH / 4/2/2026

📰 NewsSignals & Early TrendsIndustry & Market Moves

Key Points

  • ラピダスは2026年末に、顧客が設計した2nm世代のテストチップ生産を開始し、2027年後半の量産開始に向けた中間マイルストーンと位置づけている。
  • 2nmトランジスタの動作は2025年7月に発表されたが当初は特性が不十分で、2025年9月頃から改善を本格化した結果、米アルバニーで1年半かかった改善を千歳では2カ月弱で達成できるほど進捗が速いと述べている。
  • 量産に向けた開発は、歩留まり改善人材や技術移管(ファウンドリー)経験者などの統合が効いており、適材適所の体制づくりが成果に寄与している。
  • 全枚葉式製造ラインとAIを活かしたウエハー搬送システムによりサイクルタイム改善が進むことを、同社の製造コンセプトに沿う実感として語っている。
  • TSMCとの遅れを世代ごとに詰め、1nmでは「半年差」を狙う方針で、まずは顧客の信頼獲得を優先する姿勢を示している。

この記事の3つのポイント

  1. 2026年末にも顧客が設計した2ナノ世代のテストチップを生産開始
  2. AI関連を中心に米国企業から引き合い、日本や欧州の顧客も
  3. 世代追うごとにTSMCとの差を詰め、1ナノでは半年差狙う
ラピダス専務執行役員CTOの石丸一成氏は顧客を訪れるたび期待値の高まりを感じると話す(写真:加藤 康)
ラピダス専務執行役員CTOの石丸一成氏は顧客を訪れるたび期待値の高まりを感じると話す(写真:加藤 康)
[画像のクリックで拡大表示]

 先端半導体の受託生産を目指すRapidus(ラピダス、東京・千代田)は2026年末にも、顧客が設計した2nm(ナノメートル)世代のテストチップの生産を始める。2027年を目指す量産への一里塚となる。2026年2月には政府が1000億円を出資し、民間も32社が計1676億円を出資するなど産業界を挙げた支援体制が整ってきた。専務執行役員CTO(最高技術責任者)の石丸一成氏に技術開発の進捗を聞いた。

2ナノ半導体の量産を目指す2027年後半まで2年を切りました。

 2ナノのトランジスタが動作したことを2025年7月、顧客向けイベントで発表しました。ただ、この時点での動作特性は納得いくものではありませんでした。突貫工事で、プロセス技術も製造装置も十分には準備ができていませんでした。

 2025年9月ごろから特性の改善を始め、驚くような速さで改善しています。(米IBMの開発拠点があり技術者を派遣した米ニューヨーク州)アルバニーでは1年半かかった改善が、千歳工場(北海道千歳市)では2カ月弱でできている。アルバニーで実験を重ねてきた技術者たちの知見が生きたとはいえ、このスピードには我々も驚いています。

 当社には半導体工場で歩留まり改善を担ってきた人材、ファウンドリー(半導体受託生産会社)への技術移管を担ってきた人材などが集まっています。彼らが一心同体となり、適材適所で動けていることは大きいです。

 半導体ウエハーを1枚ずつ処理する全枚葉式の製造ラインと人工知能(AI)を生かすウエハー搬送システムが、製造のサイクルタイムを改善することも肌で感じています。まさに我々が掲げてきたコンセプト通りです。

次のページ

先を見据えた技術を盛り込む

この記事は有料会員限定です