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ブームの裏で制御AI未導入54%、工場の自動化阻むコストと人材不足

日経XTECH / 3/23/2026

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Key Points

  • 制御AIの導入は54.4%が未導入、0.7%のみが本格導入で現場の自動化は遠い未来の話となっている。
  • 設備の機能更新は1.4%にとどまり、約4割が修理対応のみで塩漬け運用が多い。
  • 自動化レベルは単独機械化が33.6%で最多だが、完全自律化はわずか0.7%、老朽化した自動化も1.3%と依然ハブられた状況。
  • AIは道具として活用する方向性が議論されており、多品種少量生産や匠の技の再現を機械と人が協働して実現する可能性が示唆されている。

「フィジカルAI(人工知能)」や「スマートファクトリー」といった言葉が飛び交い、製造業のAI革命が到来したかのように語られている。しかし、日経クロステックが「工場の自動化」について調査したところ、制御AIの導入はほとんど手つかずであり、生産設備の機能は更新が遅れて「塩漬け」が常態化している実態が垣間見えた。コストの壁や硬直したシステムに阻まれ、技能伝承や段取り替えといった属人的な作業に現場の時間は奪われているようだ。だが、AI導入に否定的というわけではない。AIを道具として使いこなし、多品種少量生産や匠の技の再現を目指す人と機械の協働に、日本の製造現場の活路を見いだそうとしている。

AIブームと現場の実態

Q1 あなたが所属する組織の工場では、製造現場の装置やロボットの制御にAIを導入しているか

(出所:日経クロステック)
(出所:日経クロステック)
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 世間ではAI活用が叫ばれるが、工場の制御領域にAIを「導入していない」との回答が54.4%と過半数を占めた。「本格的に導入」はわずか0.7%に過ぎない。一部で検査や予知保全への活用は進むものの、生産設備を自律的に動かす機能の実装は、大半の現場にとって遠い未来の話であるようだ。

Q2 工場の設備やロボットは、購入後も定期的に機能更新(アップデート)しているか

(出所:日経クロステック)
(出所:日経クロステック)
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 導入した設備の機能を「随時更新している」現場は1.4%にとどまる。最も多いのは「修理対応のみ」(34.7%)であり、「更新されていない」(6.1%)を含めると約4割の現場で設備が塩漬け運用されている。スマートフォンソフトウエアのように進化する最新の自動化概念とは程遠く、一度買ったら壊れるまで使い続けるハードウエア主導の運用が実態である。

Q3 あなた所属する組織の工場における自動化レベルは、今どの段階にあるか

(出所:日経クロステック)
(出所:日経クロステック)
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 工場の自動化レベルは、「単独機械化」が33.6%で最多であり、「ほぼ手作業」(17.4%)と合わせると半数以上の工場が部分的な機械化の段階にとどまっている。工程がつながった「連結自動化」は16.8%存在するものの、「完全自律化」を実現しているのはわずか0.7%だ。過去に自動化されたが、ブラックボックス化した古い設備が多い「老朽化した自動化」は1.3%だった。スマートファクトリーの理想とは裏腹に、依然として人と機械が分断されたパッチワーク的な生産体制に依存しているようだ。

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