半導体のレジェンド、日本に助け船 ジム・ケラー氏が設計者育成を支援

日経XTECH / 4/15/2026

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Key Points

  • 日本の半導体関連の従業員数が過去20年で約3割減少し、集積回路製造(ロジック、DRAM、NAND、イメージセンサー等)の人材も15万人→6万人まで激減していると報じる。
  • Jim Keller氏率いるTenstorrentが、最先端半導体技術センター(LSTC)と協業して半導体設計人材の育成を支援する取り組みを進める。
  • 経産省のNEDO委託事業(ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業)に採択され、インターン受け入れ等により5年間で200人の設計人材育成を計画している。
  • 2025年4月には設計支援や顧客開拓の拠点となる「日本デザインセンター」を東京都内に開所した。
  • Keller氏は、半導体設計にAIが必須な状況で、若者に「半導体設計者になる価値」を示すことが重要だと強調する。

この記事の3つのポイント

  1. 日本の半導体設計者は過去20年間で激減。政府が人材育成強化へ
  2. 「伝説のエンジニア」ジム・ケラー氏率いるテンストレントが支援
  3. 半導体設計にAIが必須。「優秀な設計者は優れたプログラマー」とケラー氏

 過去20年間で日本の半導体関連の従業員数は約3割減った。特に、ロジック半導体やDRAM、NANDフラッシュメモリー、イメージセンサーなどの開発、設計、製造などに携わる「集積回路製造業」の従業員数は、1999年の約15万人から2023年には約6万人まで激減した。日本の半導体産業の再興には、この状況に歯止めをかけて人材を確保する必要がある。

「伝説のエンジニア」ジム・ケラー氏がCEOを務めるテンストレントは、日本の半導体設計人材の育成に力を注いでいる(写真:日経クロステック)
「伝説のエンジニア」ジム・ケラー氏がCEOを務めるテンストレントは、日本の半導体設計人材の育成に力を注いでいる(写真:日経クロステック)
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 最先端半導体技術センター(LSTC)との協業を通じて、優秀な半導体人材を育てるべく名乗りを上げたのが、AI(人工知能)半導体開発を手掛けるスタートアップ企業、米Tenstorrent(テンストレント)だ。同社を率いるのは、かつて米AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)や米Apple(アップル)などでプロセッサーの設計・開発を手掛け、「伝説のエンジニア」とも称される最高経営責任者(CEO)のJim Keller(ジム・ケラー)氏だ。日本が直面する人材不足の現状に対して、「半導体設計者になることが非常に価値のある道だ、と若者に示すことが重要である」(同氏)と指摘する。

日本における人材不足に対して、ジム・ケラー氏は「半導体設計者になることが非常に価値のある道だと若者に示すべき」だと説く(出所:経済産業省の「経済構造実態調査」のデータを基に日経クロステックが作成)
日本における人材不足に対して、ジム・ケラー氏は「半導体設計者になることが非常に価値のある道だと若者に示すべき」だと説く(出所:経済産業省の「経済構造実態調査」のデータを基に日経クロステックが作成)
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 テンストレントはLSTCと共同で「最先端デジタルSoC設計人材育成」事業を経済産業省へ提案し、2024年11月に、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が募集した委託事業「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」に採択された。テンストレントは今後、半導体設計に携わる技術者や学生をインターンとして受け入れ、5年間で200人の設計人材を育成する計画だ。2025年4月には日本における設計支援や顧客開拓の拠点となる「日本デザインセンター」を東京都内に開所した。

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日の丸半導体の再興には「設計技術」が不可欠

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