携帯大手3社がAI事業へ傾倒、国内携帯電話産業の衰退につながらないか

日経XTECH / 5/24/2026

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Key Points

  • NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は、成長に限界が見えるモバイル通信からAI領域へ注力を強めており、事業ポートフォリオ転換の流れが明確になっている。
  • 2025年度決算では、NTTドコモが増収減益で営業利益が1兆円を割る一方、KDDIとソフトバンクは増収増益となり、各社の厳しさと回復の温度差が見える。
  • ドコモは販促費増や通信品質低下の回復コストが響いたが、「ドコモMAX」など高付加価値契約の伸長でARPUが回復し、2026年度にモバイル収入が底打ちする見通しを示している。
  • KDDIとソフトバンクは中期経営戦略でモバイル通信の大きな成長を求めず、既存契約の解約抑制(解約率低下)やARPU伸長、LTV重視へ軸足を移している。
  • こうした戦略転換により、国内の携帯電話産業が「AIへ傾倒することで衰退につながらないか」という懸念が提示されている。

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯大手3社がAI(人工知能)に傾倒している。成長に限界が見えるモバイル通信から、注力事業をシフトしようとしているようだ。その結果として懸念されるのが、国内の携帯電話産業の衰退である。

モバイル通信に大きな成長を求めなくなった

 2026年のゴールデンウイーク明けに、携帯大手3社は2025年度決算を相次いで発表した。NTTドコモが増収減益となり営業利益が1兆円を割る一方、KDDIとソフトバンクはともに増収増益で好調だった。

 NTTドコモが苦戦している要因は、競争環境の激化により販促費を増やしたことと、2023年に起こした通信品質低下を回復させるべくコストをかけたことにある。2025年度第3四半期の時点で、通期業績予想を下方修正していた。NTTドコモが業績面で厳しい状況にあることは間違いない。

 だが販売促進を強化したことや、高付加価値・高額の「ドコモMAX」の契約が目標の300万を突破したことなどで、ARPU(1契約当たりの月間平均収入)が4000円台を回復。2026年度にモバイル通信サービス収入が底を打つとしており、業績は回復傾向にある。

NTTドコモの2025年度通期決算説明資料。同社のモバイル通信サービス収入は減収が続いていたが、2026年度の底打ちが見えてきたという
NTTドコモの2025年度通期決算説明資料。同社のモバイル通信サービス収入は減収が続いていたが、2026年度の底打ちが見えてきたという
(出所:NTTドコモ)
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 携帯大手の決算発表を見て気になったのが、モバイル通信に関する今後の戦略である。KDDIとソフトバンクの両社は、次の中期経営戦略において、モバイル通信事業では大きな成長を求めないとした。KDDIは「安定的」、ソフトバンクは「継続的」な成長を目指すという。

ソフトバンクの2025年度通期決算説明会資料。モバイル通信を主体としたコンシューマー事業は、売上高・利益ともに継続的成長を目指すとし、大きな成長は見込まなくなった
ソフトバンクの2025年度通期決算説明会資料。モバイル通信を主体としたコンシューマー事業は、売上高・利益ともに継続的成長を目指すとし、大きな成長は見込まなくなった
(出所:ソフトバンク)
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 両社は2025年度の半ばごろから、新規契約獲得を重視する従来の戦略を見直している。原因は市場の飽和と、ポイント還元などの特典を目当てとする短期解約者の増加だ。既存契約者の解約率を引き下げたりARPUを伸ばしたりして、小規模ながら一定の成長を目指すというのが、両社の現在の方針といえるだろう。

KDDIの新中期経営戦略資料。モバイル通信では、既存契約者のライフタイムバリュー(LTV:1人の顧客が取引開始から終了までに自社にもたらす利益の総額)を重視した安定成長を見込むとしている
KDDIの新中期経営戦略資料。モバイル通信では、既存契約者のライフタイムバリュー(LTV:1人の顧客が取引開始から終了までに自社にもたらす利益の総額)を重視した安定成長を見込むとしている
(出所:KDDI)
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