データセンターの外壁に張り巡らせた無数の細い銅管や建物を囲むように設けた巨大な水盤を利用して放熱を促し、サーバーを冷却する際の消費電力を低減。排熱は暖房や給湯などに使う。さらに、水盤に面して広大なオープンスペースを設け、地域交流の場として活用できるようにする──。
NTTファシリティーズ(東京・港)が、カーボンニュートラルを意識した次世代型データセンター(DC)プロジェクトを進めている。2024年5月27日、最初の成果として次世代型DCのプロトタイプを発表した。同社は30年ごろまでの実現を目指し、国内外のクラウドベンダーやDC事業者などに提案していく。
プロトタイプで設定した建物規模は地上2階建て、延べ面積約2万m2。受電容量は約30MWだ。「現在主流であるDCの規模を想定した」とNTTファシリティーズ設計エンジニアリング部の松浦裕己担当課長は説明する。
最大の特徴は、DCの高発熱化への対応と環境性能の向上だ。生成AI(人工知能)の登場で、DCにおける消費電力量は急増している。一方で、米マイクロソフトや米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)など、カーボンニュートラル実現を掲げるクラウドベンダーは少なくない。「相反するような目標をいかに実現するかが喫緊の課題になっている」とNTTファシリティーズの齋藤貴之設計エンジニアリング部長は話す。
高発熱化に対応するため、1階のデータホールに設置するサーバーを全面的に「液冷方式」とした。サーバーの発熱部分に冷却液で冷やしたコールドプレート(冷却金属板)を接触させて熱交換する仕組みだ。サーバーに冷たい空気を吹き付ける従来の「空冷方式」に比べて、冷却効率が高い。
齋藤設計エンジニアリング部長は、「部分的に液冷方式のサーバーを導入した事例はあるが、大々的に液冷方式を採用したDCは国内では実現していない」と話す。同社の試算では、サーバーを全て空冷方式にした従来型DCに比べて、サーバー冷却に要する電力を約50%削減できる。
液冷方式を全面的に採用しても、コールドプレートが接触していない部分は空冷で冷やす必要がある。そのため液冷用の機械室(LCMR)と空冷用の機械室(ACMR)の2種類が要る。プロトタイプでは、LCMRとACMRをデータホールの両側に分散配置した。機械室を分けることでそれぞれの保守スペースを十分に確保してメンテナンス性を高めるのが狙いだ。またLCMRを建物外周に面して配置することで、液冷方式のサーバー増設時にLCMRを増築しやすくした。
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