この記事の3つのポイント
- AIエージェントに5分指示するだけで、5時間働かせているSaaSベンダーのTANREN。
- 労働をAIエージェントの稼働時間と捉え直し、少人数で仕事をこなす。
- AIに仕事をさせるためのコンテキスト制御といった新しい仕事も生まれる。
3人という少人数で事業を展開するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)ベンダーのTANREN(東京・千代田)が、AI(人工知能)エージェントを駆使してこれまでの業務の進め方を壊している。1人当たりのAIエージェントの稼働時間を労働と捉え、5分の指示で5時間働かせている。AIエージェントが労働時間の常識を覆しているのだ。
「5分ほどAIエージェントに話をして今日一日の流れを(音声入力で)インストール。それで5時間仕事をやってくれる」――。接客ロールプレイングのSaaSを提供するTANRENの佐藤勝彦代表取締役社長の1日は、3~5体のAIエージェントに音声で指示を出すことから始まる。
TANRENは3人で事業を展開する。佐藤社長のほか経理担当と営業担当がそれぞれ1人ずついるだけだ。同社のサービスである「TANREN」の開発は外注し、徹底した少人数運営を実現している。AIエージェントの導入後、3人が担当しているのは、それぞれが管掌する業務の最終承認や品質確認、顧客との対面のコミュニケーションなど。これらは今のところ人にしかできない「ラストワンマイル」の仕事だ。業務に関連する作業の8~9割は既にAIエージェントがこなしているという。
AIエージェントの稼働時間を労働としてみなすようになった結果、TANRENでの仕事の進め方は大きく変わった。佐藤社長は5分の指示を出した後、「前日にAIがつくった成果物をヒューマンリーダブルに、もっと愛着を込めたものにしたり、品質をチェックしたりしている」と語る。
TANRENではAIエージェントが各種作業を代替することで捻出した時間を使い、人にしかできない業務を充実させている。約100社のSaaS導入企業を支援し、AIを活用する新規事業づくりや、AI導入のための研修・アドバイザリー事業を行っている。
佐藤社長は新たな仕事も担い始めた。「AIエージェントの育成」だ。成果物を調整したり、品質をチェックしたりした結果をラーニングデータベースに蓄積し、次にAIに作業を依頼する上で必要となるコンテキスト(文脈)を制御する。人材育成ならぬAIエージェント育成が重要な業務になっている。
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