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調査会社Gartnerは2026年3月4日(米国時間)、職場におけるAI(人工知能)の活用状況に関する複数の調査結果を発表した。2025年7月に同社が従業員2986人を対象に実施した調査では、管理職の46%が業務改善のためにAIを試行しているのに対し、従業員は26%にとどまった。同月に管理職1973人を対象に実施した別の調査では、チーム全体でAIを効果的に活用する上で「特に課題に直面していない」と回答した人はわずか14%だった。
「チームにおける効果的なAI活用」には何が必要か?
Gartnerのカルメン・フォン・ローア氏(HRプラクティス担当シニアプリンシパル)は、企業の人事部門は従業員がAIツールを効果的に活用できるようにするためのプレッシャーにさらされているが、「従業員が自発的にAIを学び、活用してくれることに過度に依存している」と指摘。人事部門は、従業員がAIについて探求し、業務を革新できるよう支援することに重点を置く一方で、管理職がAI活用を推進できるようにする役割について重視してこなかったとみている。
Gartnerは、AIツールを効果的に使用するために、CHRO(最高人事責任者)とそのチームが実施すべき3つの取り組みを挙げている。
- AIを仕事に統合するためのツールや支援を管理職に提供する
- さまざまなチームの状況に応じて取り組みの動機や不満、課題を特定し、AIトレーニングとサポートを利用できるようにする
- AIによる変化に対する従業員の抵抗に対処できるよう、管理職を支援する
- AI活用に対する組織の期待を管理職に共有する
- 効果的なAI活用に関する組織の期待と必要な行動変革について、管理職に明確に伝える。例えば、管理職には非効率な慣行の見直しを求め、従業員には非生産的な個人行動の削減に注力するよう求める
- AIによって生み出された時間を従業員が活用できるよう、管理職が指導できるようにする
- AIによって生み出された時間を有効活用するため、管理職と従業員が協力して成長につながる活動を特定できるよう支援する
AIによって生まれた時間の活用に関する合意が不足
2025年7月にGartnerが人事部門のリーダー114人を対象に実施した調査では、AIによって生み出された時間をどのように活用するかに関するガイドラインを設けている組織はわずか7%にとどまった。また、生み出された時間をどの業務に再配分するかについても合意が得られていない実態が浮かび上がった。
同月のGartner調査では、人事部門のリーダーの55%が、従業員がAIによって仮に1時間の余裕が生まれた場合、その時間をコア業務以外の特別なプロジェクトに再配分することを望んでいると回答した。一方、管理職1973人を対象にした同月の調査では、コア業務以外のプロジェクトに再配分することを優先すると回答した人はわずか28%にとどまり、人事部門と管理職の間で認識に大きな差があることが示された。
フォン・ローア氏は「現在、多くの組織では、AIの活用によって従業員が生み出せる時間は断片的なものに過ぎない」とした上で、「従業員がAIの活用によってかなりの時間を生み出せるようになれば、その時間をどのように活用するかを考える必要がある」と述べている。
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