人工知能(AI)技術の普及を背景に、データセンターの建設需要が急速に高まっている。国内でも新規プロジェクトが相次ぐ一方、設計ノウハウの不足や複雑な要件への対応に苦慮するケースは少なくない。こうした課題を解決しようと、竹中工務店はデータセンターに特化した設計支援ツールを2025年12月に開発し、現在複数の社内プロジェクトで運用を始めている。
開発した設計支援ツールの特徴は、入力した数値に応じて自動でデータセンターの3Dモデルを生成できる点にある。「電力容量」や「熱源方式」、「冗長構成」といった設備面の要件と、「延べ面積」や「階数」などの建築面の要件を指定することで、計画案を短時間で生成できる。柱スパンや天井高さなども細かく設定でき、項目数は数十に及ぶ。ただし、それぞれの数値には基準値を設けているため、実際は未定の場合でも基準値を使ってモデルを生成可能だ。
ツールを使えば、データセンターの標準設備である受変電設備や非常用発電機、無停電電源装置(UPS)、空調設備などの仕様や容量を自動で算出できる。サーバールームや付帯施設などについても、必要なスペースを自動で検討してくれる。
パラメーターの数値を変更すると生成したモデルに即座に反映されるため、試行錯誤を繰り返しながら最適解を導きやすい。3Dモデルを直接動かして設備配置を調整することも可能で、経験の浅い担当者でも直感的に使いやすくなるように工夫した。さらに、作成したモデルは米AutodeskのRevit(レビット)などのBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトで使える形式として出力することもでき、詳細な設計段階での活用も見込む。
ツールのメリットとしては、「標準化による設計品質の向上」と「自動化による設計生産性の向上」に加えて、「3Dモデルを活用した顧客との合意形成の迅速化」を挙げる。
設計の担当者だけでなく営業の場面でも活用でき、発注者が土地を取得する時などの初期検討段階で使用することによって受注拡大につなげる狙いだ。開発を担当した竹中工務店東京本店設計部設備第4部門設備4グループ長の星野宗久氏は、「簡易な条件入力だけでモデル化できるようになるため、これまで数カ月を要していた設計初期段階の作業を2~3週間程度に短縮できるだろう」と話す。顧客と完成イメージを早期に共有できる点が強みとなる。
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