10年かかるDXを1年で実現したSUBARU、生成AIは「とにかく使う」が大事

日経XTECH / 4/6/2026

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Key Points

  • SUBARUはコロナ禍を追い風にDXを加速し、紙・ハンコ中心だったバックヤード業務の改革を約1年で実現した
  • 会計は独SAPのERP、人事はWHIのCOMPANY、リモート環境はVPN整備で支え、通常10年規模の変革を短期で完了させた
  • 製造工程では縦割り管理だったデータを車両コード基盤で横串管理し、部品のトレーサビリティや品質管理を効率化した
  • 販売後もDCM等から得た情報を同意のもと把握し、故障・衝突時の状態把握を実装することで「売って終わり」から継続的なユーザー接点へ転換する
  • 生成AIについては「とにかく使う」が重要という姿勢が示され、DX実装のスピード感と親和性がある

水平対向エンジンを武器に、根強い人気を誇るSUBARU。新型コロナウイルス禍を契機にDX(デジタル変革)を推し進めてきた。クルマを「売って終わり」のビジネスから転換し更なる変革を目指す。

辻 裕里(つじ・ゆり)氏
辻 裕里(つじ・ゆり)氏
日本IBMに入社し自営業を経て、地元群馬県の製造業で執行役員CIOを3年間務める。2019年SUBARU入社、情報システム部長としてシステムを統括。22年4月よりサイバーセキュリティ部長を兼務し、23年にIT戦略本部副本部長に就任。24年4月から現職。(写真:陶山 勉)
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 私が中途入社した2019年には、SUBARUはまだ紙とハンコによる業務が多く残る会社だった。ものづくりへのこだわりは一流だが、経理や人事といったバックヤード業務の改革には手が回っていなかった。

 このような状態では業務に無駄が多くなる。私はとにかく無駄が好きではない。従業員にも無駄なことに時間を割いてほしくなかった。新型コロナウイルス禍でのリモートワークの普及を「追い風」に一気にDX(デジタル変革)を進めた。

製造工程のDXも推進

 会計システムには独SAPのERP(統合基幹業務システム)を導入し、人事システムにはWorks Human Intelligence(WHI)の「COMPANY」を導入した。VPN(仮想私設網)を整備してリモートワークの環境も整えた。結果として、通常であれば10年かかるようなバックヤード業務のDXを、1年ほどでやり遂げた。

 バックヤード業務だけでなく、製造工程の改革も実施している。例えば、車両や部品に関するデータの連携だ。当社では100年以上の歴史の中で、データは製造や開発、販売などの部署ごとに縦割りのシステムで管理していた。

 そこで、部品のトレーサビリティーを実現するため、サイロ化したデータを車両コードを基に横串で管理するようにした。品質管理では、どの部品がどの車両に使用され、その車両がどこの販売店で販売されているのかといった情報は必須だ。以前は縦割りのデータを必死に追跡することで管理していた。

 販売後の車両の状態なども顧客の同意を得て把握できるようにした。例えば車両の故障や衝突時にDCM(車載通信機)から得られる情報を、トレーサビリティーの一環として活用する取り組みも実施している。

 これにより、故障や衝突時の車両の状態などを的確に把握することができる。データはメーカー側と販売店側で共有する。これまでの「売って終わり」のビジネスから「購入後も継続的にユーザーとつながる」ビジネスへと転換した。

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