日立系やシーメンスが工場で時系列基盤モデル、ダウンタイム発生件数を半減

日経XTECH / 4/3/2026

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Key Points

  • 日立製作所グループのHitachi Digital Services(HDS)とシーメンスが、追加学習なしで時系列予測を行える「時系列基盤モデル(TSFM)」のPoCや活用を進めている。
  • 予知保全への適用例では、従来手法と比べて機械1台当たりのダウンタイム発生件数が4件から2件へ半減し、年間ダウンタイム2000時間削減が見込まれる。
  • TSFMは複数ドメインのデータ間の関係性を解析でき、湿度センサー値上昇の要因推定のように外部データ(例:気象データ)追加で精度向上につなげられる。
  • モデルは顧客の方針に応じて選択でき、公開モデルのファインチューニングで独自構築するケースや、用途・業界特化モデルの活用もある(例:医療向けOpenTSLM)。

 追加学習なしに時系列予測ができるとして注目を集める「時系列基盤モデル(Time Series Foundation Model、TSFM)」。海外では製造業を中心に活用事例が増えつつある。米Hitachi Digital Services(HDS)と独シーメンス(Siemens)を例に、活用のメリットを見ていこう。

 日立製作所グループの技術コンサルティング会社で北米を拠点とするHDSは、時系列基盤モデルのPoC(概念実証)を顧客企業と進めている。

 予測結果を従来手法と比べたところ、時系列基盤モデルの方がより良い結果が得られたという。例えば、予測結果を工場の予知保全に利用したところ、機械1台当たりのダウンタイム発生件数が4件から2件へと半減。年間のダウンタイムを2000時間削減できるとする。

Hitachi Digital Servicesが工場の予知保全の実証で得られた結果
Hitachi Digital Servicesが工場の予知保全の実証で得られた結果
(出所:Hitachi Digital Servicesの資料を基に日経クロステック作成)
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 時系列基盤モデルが高い精度で予測できる理由の1つに、複数の異なるドメインのデータの関係性を解析できる点がある。例えば工場の湿度センサーの値が上がった場合、原因は工場設備の不備かもしれないし、外で雨が降っているからかもしれない。時系列基盤モデルでは、気象データのような外部データを追加することで、予測精度を高められる。

 利用するモデルは顧客の希望により使い分ける。ビッグテックが公開している時系列基盤モデルにファインチューニングを施し、独自のモデルを構築することもあれば、業界や用途に特化したモデルを使うこともある。米スタンフォード大学らの研究チームが開発した、医療情報に特化したモデル「OpenTSLM」などが代表例だ。

 HDSのEMEA地域 AI統括責任者 Centre for Architecture & AI(CAAI)のVitor Domingos氏は「時系列基盤モデルは技術的に興味深いだけでなく、ビジネス面でも価値がある」と話す。

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