この記事の3つのポイント
- 日本のIT企業は業務特化型のフィジカルAI事業に注力
- 日立製作所は鉄道分野で保守コストを最大15%削減
- NECは人間系世界モデルで人にやさしいロボット制御を実現
日本のIT企業がフィジカルAI(人工知能)を駆使し、「人月商売」に代わる新たな収益源を生み出そうとしている。従来のオフィスワークの業務効率化に加えて、工場や小売店、物流施設といった現場における課題を解決する事業へと拡大させる。従来事業で得た「ドメインナレッジ」も生かしながら、新たな事業モデルの構築を目指す。
「人がAIエージェントやロボットと協働したり、仕事を任せたりできる世界を実現したい」。日立製作所でフィジカルAI事業を主導する黒川亮氏(AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット事業主管)は、同事業の狙いをこう語る。
フィジカルAIは一般に、ロボットや機械を自律的に制御するAIを指す。だが、日立が範疇(はんちゅう)とするフィジカルAI事業は、それだけにとどまらない。AIを活用して物理的な環境に作用して、現場作業の効率化や安全性の向上、製品の歩留まり向上などにつながる取り組みまで含めている。エッジ端末からデータを収集し、そのデータを基に人やAIエージェントが判断し、作業の指示を出す。時にはロボットも制御し、作業支援などの行動に移す。その際、既存システムと連係しつつ、現場に応じたドメインナレッジ(業界の知見・ノウハウ)を活用し、高度な知覚・認知・判断・計画・行動を可能にする。これらが、日立の目指すフィジカルAIの枠組みである。
この枠組みでは、大きく3つの階層がある。物理層、データ層、プレゼンテーション層だ。物理層には、現場の既存システムやエッジ端末(エッジコンピューティング)が存在する。この物理層で取得できるデータを集約するのがデータ層である。このデータを基に、プレゼンテーション層で工場責任者や作業員、AIエージェント、フィジカルAIに向けて、それぞれが理解しやすいユーザーインターフェースやデータ形式に変換する。これにより、人とAIエージェント、ロボットの協業を容易にする。
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