この記事の3つのポイント
- フィジカルAIを社会実装するには、通信分野の活用が必要
- 上りトラフィックの処理と絶対的な通信品質の実現に各社が取り組む
- ソフトバンクは、賢さと速さを両立させたAIの階層構造を取る
ソフトバンクグループ(SBG)が自社のAI(人工知能)ロボット事業強化に動いている。2025年10月には、スイスABBのロボティクス部門の買収を発表。「人工超知能(ASI)」の実現を掲げるSBG代表取締役会長兼社長執行役員の孫正義氏は、買収に当たって「SBGの次のフロンティアはフィジカルAIだ。ASIとロボティクスを融合させることで、人類の未来を切り開く画期的な進化を実現する」と意気込みを見せた。
同年12月には、SBGの中核企業で通信インフラを手掛けるソフトバンクが、フィジカルAIを使ったロボットのユースケースを安川電機と共同開発すると発表。同月開催の「2025国際ロボット展」(iREX2025)において、次世代のビル管理システムと連携して状況を判断し、ロボットに最適な指示を出すデモンストレーションを披露した。
フィジカルAIの社会実装に新しい通信技術が必要
ロボットと通信技術の融合に動いているのは、ソフトバンクだけではない。NTTドコモビジネスが川崎重工業との協業を2025年10月に発表した。NTTグループの次世代情報通信基盤「IOWN」や5G(第5世代移動通信システム)などのネットワークとAI、セキュリティー技術を生かし、ロボットやモビリティーに活用していくと表明した。KDDIもAI開発のAVITA(アビータ、東京・目黒)とフィジカルAI分野で協業を始めた。AVITAが開発する国産人型ロボットの遠隔制御やAI処理によって、人型ロボットによる接客業務の実現を目指すとしている。
こうした協業が活発化している背景にあるのがフィジカルAIの存在だ。従来のAIがサイバー空間内でのテキストや画像生成にとどまっていたのに対して、フィジカルAIは認知能力や判断能力を、ロボットをはじめとした機械に持たせ、現実世界で物理的に作用する。
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