この記事の3つのポイント
- 多産業で自動化を進める鍵は「フィジカルAIとオープン化」
- 人型ロボの活用は限定的で、産業用途以外でも参入は検討していない
- 他社ソフトを取り入れつつ、ハードの進化に適応できるロボットにする
フィジカルAIの波が製造業に押し寄せる中、産業用ロボット大手のファナックは米NVIDIA(エヌビディア)と組み、ロボット制御のオープン化を加速している。外部の最先端AI技術を積極的に取り入れ、これまで困難だった領域の自動化に積極的に取り組む。2027年末には9000万ドル(約143億円)を投じて米国に新工場を建設し、フィジカルAIの需要拡大に対応する。一方で、昨今ブームに沸く人型ロボットとは距離を置く。現場の現実を見据えた同社ならではの堅実な戦略について、ロボット開発を統括するロボット研究開発統括本部統括本部⻑の安部健⼀郎氏に聞いた。
フィジカルAIで目指す世界を教えてほしい。
大きく2つある。1つは今までできなかった高度な作業の実現だ。例えば3次元的に動いているワークの位置をリアルタイムに把握しながら(検出しながら)見てつかむだけでなく、作業までこなせる。
もう1つは、簡単に(自動化)できるようにしていくこと。ロボットの需要が広がる一方で、自動化技術を持つ人材が少ないため、ロボット工学やプログラミングを習っていなくても(ロボットを)使えるようにする必要がある。例えば、言葉を認識して自動でプログラムを書き、それを実行するといった世界だ。
(フィジカルAIによる)自動化が進むと、現場での微調整やティーチングが要らなくなると言われている。現場への導入に当たってロボットシステムインテグレーター(SIer)の仕事は減るのか。
決してSIerが要らなくなるわけではない。自動化したい領域が増えている中、(フィジカルAIは)SIerがいない地域や技術がない分野を拡張し、人材不足を補完するためのものだ。泥臭い仕事は減るかもしれないが、ロボットが人の職場を奪うわけではなく、人が足りないところを埋めるのが役目となる。
今後も現場でのひとひねり(調整や工夫)が必要になるため、SIerの活躍の場は今後も求められるし、(フィジカルAIによる自動化が)増えれば増えるほど活躍の場は広がると思う。
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