宇宙太陽光発電が1位、テクノロジー未来投資指数 脱炭素・新素材も高期待

日経XTECH / 2026/4/28

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要点

  • 日経クロステックとZuvaが、167万社超のスタートアップ資金調達データを基に「テクノロジー未来投資指数」を開発し、2025年12月末時点の情報で技術セクターの成長期待値トップ50を算出した。
  • 指数は「トレンド指数(資金流入の伸び)」と「成熟度指数(成長余地)」を組み合わせ、直近1年間で調達のあった技術セクターを対象にしている。
  • トップ10は次世代エネルギーの「宇宙太陽光発電」が1位で、生成AI関連の「ディープフェイク検出」が2位、宇宙データセンターに関わる「軌道上コンピューティング」が3位に入った。
  • 宇宙太陽光発電は宇宙で発電しマイクロ波/レーザーで地上へ送電し再変換して利用する構想で、JAXAがHTV-XをプラットフォームにDELIGHTなどの軌道上実証計画を進めると説明している。

 衛星データ利用の活発化や、ビッグテックによる“宇宙データセンター”実現競争の加速などで注目を集める宇宙関連技術が台頭している。日経クロステックと、スタートアップデータベース(DB)を運用するZuvaは共同で「テクノロジー未来投資指数」を開発。Zuvaが保有する167万社を超えるスタートアップの資金調達動向を分析し、2025年12月末時点のデータを基に、技術セクターごとの成長期待値を算出して最新のトップ50ランキングを作成した。

 テクノロジー未来投資指数は、「トレンド指数」と「成熟度指数」の2つを組み合わせて算出している。トレンド指数は資金流入の伸びを、成熟度指数は各技術セクターの成長余地を示す。ランキングの対象は直近1年間調達のあった技術セクターである。

 トップ10は次の通りだ。

「テクノロジー未来投資指数」のトップ10
「テクノロジー未来投資指数」のトップ10
(出所:日経クロステック、Zuva)
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 トップ10にランクインした技術セクターを見ると、1位は次世代エネルギー技術の「宇宙太陽光発電」 解説 。2位は生成AI(人工知能)の登場に伴って注目を集める「ディープフェイク検出」 解説 、3位には“宇宙データセンター”の構築に必要な「軌道上コンピューティング」 解説 が入った。

宇宙空間で発電し、地上に伝送

 宇宙太陽光発電とは、宇宙空間に巨大な太陽電池と送電アンテナを配置して、発電した電力を地上に伝送する技術だ。宇宙空間で発電した電力をマイクロ波またはレーザー光に変換して送り、地上で電力に再変換してエネルギーとして利用する。安定的な電力供給源として実現が期待される技術だ。

 宇宙太陽光発電の実現に向けて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2025年10月にH3ロケットで打ち上げた新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」をプラットフォームとして活用する実証実験を実施する。HTV-Xが国際宇宙ステーション(ISS)を離脱した後に、宇宙太陽光発電の実現に欠かせない大型宇宙構造物構築を見据えた「展開型軽量平面アンテナの軌道上実証(DELIGHT)」を行う計画だ。

 宇宙太陽光発電の実現に取り組む主要プレーヤーの1つが、米Aetherflux(エーテルフラックス)だ。2024年に設立した同社は、小衛星のコンステレーション(多数の小型人工衛星を連携させて一体的に運用するシステム)の構築や、宇宙空間で発電した電力を地上に伝送するための光無線給電の開発などに取り組む。

 エーテルフラックスは2025年4月、シリーズAで5000万ドルの資金を調達。出資者として、米SpaceX(スペースX)の元幹部が設立したベンチャーキャピタル(VC)のInterlagos(インターラゴス)や、米Microsoft(マイクロソフト)創業者のビル・ゲイツ氏が設立したBreakthrough Energy Ventures(ブレークスルー・エナジー・ベンチャーズ)など、複数の大手VCが名を連ねる。

 2025年12月には米Overview Energy(オーバービュー・エナジー)が事業内容を公表し、宇宙太陽光発電技術の開発に取り組んでいることを明らかにした。2022年設立の同社の累計資金調達額は2000万ドル。米Earthrise Ventures(アースライズ・ベンチャーズ)や米Prime Movers Lab(プライム・ムーバーズ・ラボ)などが出資者だ。

脱炭素関連も目立つ

 トップ50を見ると、ランクイン数が最も多かったのが脱炭素関連セクターだ。6位の「海洋アルカリ度増強」 解説 をはじめ、「CO2電解還元」 解説 や「岩石風化促進」 解説 、「大気水生成」 解説 など6技術が入った。

 海洋に溶解しているCO2(二酸化炭素)を石灰石や玄武岩などのアルカリ性鉱物に固定する海洋アルカリ度増強や、CO2を電気分解することで有機物質に変換するCO2電解還元など、CO2除去(CDR)技術が注目を集めている。

 海洋アルカリ度増強技術の開発に取り組むイタリアのLimenet(ライムネット)は2025年12月にシードラウンドで700万ユーロ(約820万ドル)を調達。CO2電解還元技術の開発を進める米Twelve(トゥエルブ)も同年12月にシリーズCで8500万ドルを調達した。その他に複数の気候テックに取り組むスタートアップが資金を調達したことが、脱炭素関連セクターの順位を押し上げたと見られる。

 AI関連技術の勢いも衰えていない。「AI活用半導体設計」 解説 や「小規模言語モデル」 解説 など、脱炭素関連技術に次ぐ4技術がランクインしている。

 AI関連セクターと同じく4つの技術がランクインしたロボティクス関連セクターや、ランクイン数がAI関連セクターを上回った新素材関連セクターも目が離せない。トップ10にランクインした技術セクターの詳細、11位以降の技術セクターの一覧を見ていこう。

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