米Anthropic(アンソロピック)がこのほど発表した大規模言語モデル(LLM)の「Claude Mythos(クロード・ミトス)」に日本の金融業界が身構えている。日本の金融機関はITベンダーの多重下請け構造に頼ったシステム開発体制を敷く。Mythosのような高性能AI(人工知能)を悪用した攻撃が、そうした開発体制に対し不利に働く可能性がある。
「何らかの対応はせざるを得ないだろう」。メガバンクの幹部はMythosに対する対応について、日経クロステックにこう語った。
Mythosはアンソロピックが2026年4月7日(米国時間)に発表したLLMだ。「ゼロデイ」という未知の脆弱性を数千件発見しており、主要なOSやWebブラウザーに含まれるものもあるとする。同社は「ソフトウエアの脆弱性を発見・悪用する能力が、最も熟練した人を除いて、全ての人を上回るレベルに達した」と主張する。
サイバー攻撃に悪用される事態を回避するため、アンソロピックはMythosの一般公開を控えている。「Project Glasswing(プロジェクト・グラスウイング)」と呼ぶサイバーセキュリティーに関するプロジェクトを立ち上げ、この取り組みに参加する企業だけに「防御」の目的に限ってMythosの使用を認める。
Project Glasswingには、アンソロピックのほか、Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)やApple(アップル)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)、NVIDIA(エヌビディア)といった米国の主要なテクノロジー企業が名を連ねている。米金融業界からは、JPMorgan Chase(JPモルガン・チェース)が参加した。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEO(最高経営責任者)は2026年4月6日に公開した株主宛ての年次書簡で「サイバーセキュリティーは依然として我々の最大のリスクの1つであり、AIによってさらに深刻化することはほぼ確実だ。我々は、自らを守るため、そして警戒を怠らないために、多額の投資を行っている」とコメント。AIの脅威に対応する決意を表明していた。
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