ソフトバンクなど3社、フィジカルAIへの通信 ロボとMECの連係が鍵

日経XTECH / 2026/4/15

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要点

  • フィジカルAIを実用ロボットに導くうえで、ロボットの高度な自律動作を支える通信基盤の進化が決定的だと位置付けられている。
  • T-Mobile CTOは、フィジカルAIは生成AIを上回る巨大市場(数十兆ドル規模)になり得るとして、5G-Advanced/6Gを「神経系」と見なす。
  • フィジカルAIではスマホ中心の下り優位から、センサー映像など大容量データを端末が取得し上りで送る比重が高まり、通信トラフィックの構造が変化する。
  • 重要論点は端末とMEC(マルチアクセス・エッジ・コンピューティング)の連係で、重い推論をエッジ側へ分散し、クラウド経由の遅延やジッター(例10ミリ秒)が事故につながるリスクを避ける。
  • MWC Barcelona 2026でソフトバンク、Qualcomm、MediaTekの3社が、フィジカルAIに向けた取り組みと世界観を披露している。
図1 MWC Barcelona 2026では人型ロボットの展示が相次いだ(写真:日経クロステック)
図1 MWC Barcelona 2026では人型ロボットの展示が相次いだ(写真:日経クロステック)
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 産業用途など実用的なロボットに欠かせないのが、ロボットの高度な自律動作を可能にするフィジカルAI(人工知能)だ(図1)。実現に向けて鍵を握るのが無線通信の進化である。ソフトバンクや米Qualcomm(クアルコム)などが目指す世界観がはっきりしてきた。

 米T-Mobile(Tモバイル)最高技術責任者(CTO)のJohn Saw(ジョン・ソー)氏は、フィジカルAIは生成AIよりもさらに巨大な市場になり、数十兆ドル規模に達すると読む。「5G(第5世代移動通信システム)-Advancedや6G(第6世代移動通信システム)のような高度なネットワークは、単なる接続手段ではなく、フィジカルAIのための神経系だと見ている」と通信の重要性を指摘した。

 フィジカルAIの登場によって、スマートフォンが中心だったトラフィック(通信量)が大きく変わる。これまでは下り通信が大半だったが、フィジカルAIでは上り通信が増加する。これは、端末上でカメラやセンサーを用いて映像といった大容量のデータを取得し、ネットワークを通じてクラウドにアップロードしてAIが判断・推論する材料にするためだ。

 ポイントとなるのは、端末とマルチアクセス・エッジ・コンピューティング(MEC)との連係だ。軽い処理は端末・ロボット側のみで実行し、重い処理はエッジサーバーであるMECに任せるといったように処理を分散させる。フィンランドNokia(ノキア)最高技術・AI責任者(CTAO)のPallavi Mahajan(パラヴィ・マハジャン)氏は「人間が介在しない世界においては、10ミリ秒のジッター(通信の揺らぎ)でも重大な事故を引き起こすことがある。判断の際にクラウドを経由する時間はないため、推論の分散が重要となる」と述べた。

 では具体的に、フィジカルAIのための通信とはどのようなものだろうか。モバイル関連の世界最大級の展示会「MWC Barcelona 2026」(2026年3月2~5日、スペイン・バルセロナ)でソフトバンクとクアルコム、台湾MediaTek(メディアテック)の3社が披露した、各社が目指す世界観とフィジカルAIに向けた取り組みを紹介する(図2)。

図2 MWC Barcelona 2026における3社の出展内容(出所:日経クロステック)
図2 MWC Barcelona 2026における3社の出展内容(出所:日経クロステック)
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