AI(人工知能)エージェントの進化を背景に、「SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の死(SaaS is Dead)」という刺激的な言葉が、再びIT業界をざわつかせている。AIエージェントが進化すると、これまでSaaSが提供していたような業務の自動化支援機能をAIエージェントが代替する。その結果、SaaSのビジネスモデルは終焉(しゅうえん)を迎えるのではないか、という議論だ。
もっとも、「SaaSの死」が指す内容は、人によってかなり違うのが現状だ。ある人は「SaaSにおけるUI(ユーザーインターフェース)の価値が下がる」と言う。また別の人は、「SaaSごとの機能差がなくなり価格競争が激しくなる」と言う。国内のSaaSベンダーに取材すると、「AIが進化してもSaaSは死なない」「AIを取り込んでSaaSはもっと進化する」などと、冷静に受け止めているところも多い。どの意見も一理ある話だ。
SaaSの死に関する議論が盛り上がる一方で、「SaaSはどうなるか」という問いはユーザー企業が、本当に求めていることを無視しているのではないかと、感じる場面が増えてきた。
その違和感をはっきり言語化しているのが、経費精算・請求書処理支援を手掛けるTOKIUMだ。同社はSaaSベンダーではあるが、「重要なのはSaaSにしろAIエージェントにしろ、業務支援機能を顧客にどのように提供するかではない」とする。経費精算や請求書処理といった「業務」を、「どうすれば確実に完了した状態で提供するかが重要」とする。
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