NTTデータは2026年度から、自社で所有する建物の改修などに建設3Dプリンターを活用していく方針を打ち出した。様々な意匠に対応しやすく、短工期で改修でき、使用する材料によってはコストも抑えられる3Dプリンターを建物の維持管理に役立て、建設費の高騰に対応する。
NTTデータが保有する不動産には、同社が設立された1988年前後に建てられたものが多くある。近年は竣工から約40年が経過したものが増え、改修期を迎えている。しかし、資材費や人件費の高騰で改修コストの増加が大きな課題となっていた。
そこで同社は自社ビルの改修などに、3Dプリンターを積極的に活用する方針を掲げた。必要な部材を自前で印刷できる3Dプリンターは型枠工事が不要で、資材や建設費の削減につなげやすいと判断した。
プロジェクトはNTTファシリティーズと、3Dプリンターの開発などを手掛けるPolyuse(ポリウス、東京・港)と共同で推進する。そのパイロット事業として、東京都品川区にあるオフィスビル「NTT品川TWINS」の警備棟を改修した。NTTデータが基本設計、NTTファシリティーズが詳細設計、Polyuseが3Dプリンター活用の検討・助言・部材製作を担い、2026年3月に改修が完了した。
警備棟は延べ面積が約10m2の小さな平屋建ての建物で、ビルの警備員が常駐する場所だ。1986年の竣工から40年がたち、窓が破損したり、天井から漏水したりしていた。窓面積が大きいため日が当たり過ぎるなど、滞在の快適さにも問題があった。
今回の改修では外壁塗装や窓の張り替えなど基本的な修繕を施した上で、3Dプリンターで製作した部材を外装材として壁の外側に取り付けた。モルタル系の材料を積層してつくった弓形の部材をそれぞれの端部を重ねて積み上げ、警備棟を覆っている。警備棟の見た目は劇的に変化した。
外装材の形状は20種類以上ある。多品種少量生産に向く3Dプリンターの強みを生かして部材を製作した。外装材は警備棟の構造体ではなく、鉄骨柱にボルトで固定している。外装材の隙間から外部への視認性を確保しながら、インパクトがある意匠の外観に刷新した。
この外装材で、建物への直接日射を従来よりも約60%抑制できる。夏季の室温は約1.8度下げられる見込みだという。
「エントランス付近に立つ警備棟はビルの顔になる。単に改修するのではなく、自社のチャレンジ精神をデザインに落とし込んだ」と、NTTデータクラウド&データセンタ事業部データセンタ統括部の園田岳志課長は改修デザインの意図を語る。
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