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フィジカルAIに沸く建設業、i-Constructionの教訓生かしプロセス変革に踏み込め

日経XTECH / 2026/4/3

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要点

  • 国土交通省が2026年3月17日に初開催した建設分野のフィジカルAI向けピッチイベントには104団体253人が参加し、建設業界の関心の高さが示された。
  • フィジカルAIはセンサーで状況を取得し、物理的な動きで省力化・省人化を実現する仕組みとして定義され、建設の人手不足や事故リスクへの打開策として期待されている。
  • 建設業界の先行例の中心はヒューマノイドではなく、無人で動く建設機械(ブルドーザーやダンプ等)や、自動化建機の共通システムOPERAなどで、AIに動作を組み込みやすい業態で導入が進んでいる。
  • 今後の加速の鍵は技術開発だけでなく、工事発注など制度を含むプロセス変革まで踏み込めるかであり、その教訓としてi-Constructionの経験が示唆されている。
国土交通省が建設分野のフィジカルAI活用に向けて開催したピッチイベントの様子。会場は満席だった(写真:日経クロステック)
国土交通省が建設分野のフィジカルAI活用に向けて開催したピッチイベントの様子。会場は満席だった(写真:日経クロステック)
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 テック界隈(かいわい)で旋風を巻き起こしている「フィジカルAI(人工知能)」に、建設業界も熱い視線を注いでいる。国土交通省が2026年3月17日に初開催したピッチイベントには、建設会社や建機メーカー、スタートアップ企業、電機・通信企業、行政機関など104団体から253人が参加。会場は猛烈な熱気に包まれた。

 国交省は今のところ、建設・土木分野のフィジカルAIを「センサーなどで外部の状況を入手・判断し、物理的な動きによって建設現場に省力化や省人化の効果をもたらすもの」と定義している。深刻な人手不足や高い事故リスクといった切実な課題を抱える建設業界にとって、フィジカルAIは打開策の1つと期待される。

 実際、建設業界はフィジカルAIの開発や実装で先行している業界だと言える。ただし、現時点の主役は一般にイメージするようなヒューマノイド(人型)ロボットではない。無人で動く建設機械だ。

 鹿島や大成建設といった大手建設会社は、ブルドーザーやダンプトラックを自動化してダム建設や土工事の現場に次々と投入。続く中堅以下の建設会社も、土木研究所が開発した自動化建機の共通システム「OPERA(オペラ)」を活用して開発にしのぎを削っている。

 技能者の細かい動作や力加減をAIに学ばせるのに比べれば、建機の動作はAIに組み込みやすい。数多くの建機が活躍する建設業界だからこそ、フィジカルAIの導入が進んでいる。

 フィジカルAIの現場実装が今後加速するのは間違いないが、まだ課題も多い。中でも筆者が注目するのは、現場のプロセス変革にまで踏み込めるか、という点だ。技術面の開発が進んでも、工事発注などを含めた制度面が整わなければ十分な効果を発揮できない。その教訓を示すのが「i-Construction(アイ・コンストラクション)」だ。

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プロセス変革に出遅れたi-Con

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