トヨタ自動車が部品種・仕様の削減・適正化を図る「AREA35(エリア35)」に取り組んでいる。エリア35の特徴の1つが、ソフトウエアのバリエーション削減にまで踏み込んでいる点だ。ハードウエアの部品種削減と同様、ここでもグルーピングが鍵となる。
同社は従来、車種ごとにパワートレーンとブレーキの制御仕様を作成していた。エリア35では、従来一括で作成していた制御仕様を、主な制御仕様(ベース仕様)と車種によって異なる個別仕様に分け、ベース仕様は車種ごとではなくグループ単位で開発することにした。ここでいうグループとは、プラットフォーム(車台)などが同じ群開発するクルマで、エンジン車やハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)といったユニットが同じモデルをまとめたものだ。こうすることでベース仕様の開発リソースの合理化を進めた。
その上でタイヤ径の違いといった諸元値や、エンジンの回転数・出力など車種の特性によって異なる個別仕様(駆動力マップ)は車種ごとに設定する。
ユニット単位で主な制御仕様を統一
仮に群開発する3車種で、それぞれ3種のユニット(エンジン車とHEV、PHEV)のモデルがあったとする。それぞれでばらばらに制御仕様を開発すると、「車種(3)×ユニット(3)」=9種類の制御仕様を開発することになる。
これをエリア35では、群開発するクルマであれば、ユニット単位で主なベース仕様を統一して開発工数を削減した。どの車種でもベース仕様はユニットが同じなら同じ。例えば、HEVならA車でもB車でもC車でもベース仕様は同じだ。
ただし、車種の特性などによって異なる個別仕様は、工場で書き込む車両情報に合わせて調整する。ここでも工程を効率化するための工夫がある。同じプラットフォーム・ユニットの全車種の機能を持つ「全部入り」制御仕様が電子制御ユニット(ECU)に書き込まれている。工場で車両情報を書き込む際、その車両情報に合わせて、A車は雪道での適正制御機能を有効に、B車は無効にするといった調整を自動でする。こうすればサプライヤーがECUにソフトウエアを書き込む工程を合理化できる。仕様に関係なく同じソフトウエアを書き込めるので、段取り替えの必要がなくなるからだ。
スピードメーターなどのソフトウエアも工場での書き込み時に調整する。例えば「RAV4」ではメーターのハードウエアは統一。液晶ディスプレーなので、国や地域によって異なる速度や燃料の単位などの表示は、ソフトウエアで変えれば済むためハードウエアを個別に開発しなくて済む。先述した通り「全部入り」ソフトを作成し、工場で車両情報を書き込む際に仕向け先によって調整すればよい。従来は日本から北米、欧州など仕向け先によって10種類作成していたのを、1種類に削減できるわけだ。
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