半導体不足が深刻だ。「AI需要の高まりを受けて、AI向けデータセンターに多くの製品が流れた結果、品薄や価格高騰につながっている」と説明されることが多く、ビジネスにも影響を及ぼしている。
「AIサーバの需要増加によって、メモリ半導体の需給がアンバランスになり、電子デバイスだけでなくサーバ、ネットワーク機器、ストレージ機器までリードタイムの長期化が顕著になっている」――半導体やIT機器の専門商社・東京エレクトロン デバイスの宮本隆義社長は4月28日、2026年3月期の本決算説明会でこう述べた。
影響が広がる背景には「半導体不足」と一口に言っても、米NVIDIAのGPU(画像処理半導体)のような上位モデルにとどまらない点がある。半導体不足の裏側で起きていることを、供給者である東京エレクトロン デバイスの幹部が明かした。
半導体を巡って「パニックオーダーに近い状況」
東京エレクトロン デバイスの2026年3月期決算において、売上高は約2037億円で前年同期比で126億円、5.8%の減少となった。
事業領域別では、コンピュータシステム関連の「CN事業」が堅調なIT投資を追い風に増収増益となった一方で、同社の主力である半導体関連の「EC事業」はサプライチェーンの在庫調整が影響して減収減益となった。
半導体を巡る動向について、宮本社長と長谷川雅巳コーポレートオフィサーによる本決算説明会の発言を抜粋して紹介する。
半導体不足がいつ落ち着くのか「私たちも知りたい」
長谷川コーポレートオフィサー 半導体の長納期化によって、2027年4月分や7月分の受注が入っている。長納期化は単発的な話ではなく、しばらく続くと考えられる。
(在庫調整が一段落して需要が回復傾向にある他、将来の供給不安を懸念した企業による)世界的にパニックオーダーに近い状況で、全ての納期が長期化しているため「先んじて発注しないと手元に入ってこない」という危機感から起きている。顧客の先行手配は今後落ち着くとみられるが、これがいつ収まるのか私たちも知りたい。
「AIデータセンター特需」が半導体不足を起こした理由
長谷川コーポレートオフィサー 半導体の長納期化は、AIデータセンターの特需に起因している。メモリ(データを保管する記憶装置)やプロセッサ(CPUやGPU)だけでなく、アナログ半導体(光や音を電気信号に変える)、パワー半導体(電流を制御する)、ロジック半導体(計算処理を担う)に至るまで全体的に納期が長期化している。
データセンター向けというと、NVIDIAのGPUを思い浮かべるかもしれないが、それらを動かす(電源制御用などの)アナログ半導体が必要だ。(メーカーがAI向け供給を優先した結果、他業界向けの枠が削られ)半導体市場において全体的にデータセンターやAIに持っていかれている。その結果、6カ月だった納期が1年になるなど長期化している。
半導体供給のボトルネックはどこにある?
長谷川コーポレートオフィサー 半導体を構成する素材は「ハイエンドGPU」「パワー半導体」など種類によらず共通。生産体制が整う前に、半導体の需要が回復したこと、データセンター市場が活況になったことが背景にある。
半導体の製造工程では、パッケージング工程(切り出したチップに外装を施す最終工程)とテスト工程がボトルネックになっている。パッケージング時の部材も長納期化しているため、影響が出ている。2021~2023年の半導体不足と同じ状況。
半導体の取り合い、実際の現場は
宮本社長 長納期化を受けた製品の確保について、顧客同士が直接取り合うわけではなく、メーカー側がアロケーション(割り当て)している。メーカー側も「分野ごとに優先させなければならない」という状況があると聞いたことがある。
顧客自身が確保に動けないため、先行して発注する動きが出ている。当社としても厳しい状況で、納期がない、いつ入って来るか分からない状況にある。
企業のIT投資はどう変わるか
宮本社長 メモリや半導体の価格高騰を受けて、AI以外の一般向けIT製品の価格までもが2倍以上に値上がっている。顧客の予算に収まらず「保証延長でしのぐ」「違うものに切り替える」など購入を控える流れが出てきている。
中東情勢の影響は?
宮本社長 当社の事業が、中東情勢に直接影響を受けることはないと思う。しかし、半導体に使う化学物質などを中東に依存している部分があるため、間接的な影響はある。
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