広告

話題のコンテキストエンジニアリング、日本企業が後れを取る根深い理由

日経XTECH / 2026/4/2

💬 オピニオンSignals & Early TrendsIdeas & Deep Analysis

要点

  • コンテキストエンジニアリングは「AIに渡す情報(文脈)全体」を設計する考え方で、特にAIエージェントに仕事をさせる場合に不可欠とされる。
  • プロンプトエンジニアリングが“指示文の工夫”だとすると、コンテキストエンジニアリングは“会話や作業の段取り・やり取り全体の設計”まで含む点が対比されている。
  • 人が介在する対話では人がプロンプトで文脈を制御できるが、AIエージェントでは人の介在がないため、設計としてのコンテキスト整備が重要になる。
  • ベンダーがこの重要性を強調する背景には、SaaSにAIエージェントを組み合わせても「SaaSの死」を打ち消したい思惑があり、必要なコンテキストをSaaS側に実装しようとしているという見立てが示されている。

 AI(人工知能)分野で今、大きな話題と言えば「コンテキストエンジニアリング」だ。米オープンAIや米アンソロピックなどの生成AIベンダーだけでなく、米セールスフォースや米オラクルといった既存のITベンダーもその重要性を説く。

 「コンテキスト(文脈)のエンジニアリング(設計)」というと抽象度が高すぎて分かりにくいが、煎じ詰めると「AIに渡す情報全体を設計する」ことだ。特にAIエージェントに何らかの仕事をさせようとする場合は不可欠だと言ってよい。その意味では、AIエージェントに仕事の段取りを教えるのが、コンテキストエンジニアリングと見なすこともできる。

 生成AIで個々のプロンプト(指示文)の表現方法などを設計する「プロンプトエンジニアリング」と比べると、その意味合いがより明確となる。生成AIから本当に知りたい情報、より深い情報を得たいと思えば、まず適切なプロンプトを与えて回答を得る。さらに、その回答を基に新たなプロンプトを入力し……。そんなやり取りを繰り返すことで、必要な情報を得ることができる。

 こうした人と生成AIとのやり取りがまさにコンテキスト、文脈だと言える。この場合、人がプロンプトとして書き込む内容によってコンテキストを「制御」できる。しかしAIエージェントの場合、人が介在しないためコンテキストの設計が不可欠になるわけだ。

 そんなコンテキストエンジニアリングの重要性を、AIベンダーだけでなく既存のITベンダーが説く背景には「SaaSの死」を打ち消したいとの思惑ものぞく。SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)ベンダーは、SaaSとAIエージェントを組み合わせて提供しようとしているが、AIエージェントに業務を実行させるのに必要なコンテキストを、SaaSの中に実装しているからだ。

次のページ

日本企業の属人化が大きな障害

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

広告