ベテランほど、AIを使った方がよい理由
■声の大きさを、やる気と勘違いしていた
若い頃、私は会議でよく発言する人を「やる気がある」と思っていました。
反対に、発言しない人は「自主性がないのでは」と判断してました。
声が大きい、発言が多い。
目に見える行動を、熱量や主体性に短絡的につなげてしまう。
特に、会議は特に発言の有無が、評価につながりやすい。
でも、ある出来事で、その見方が完全にひっくり返りました。

■発言がない人は、考えていなかったのか
ある会議で、ほとんど発言しない人がいました。
私は内心「なぜだろう、気持ちが乗らないのかな」と感じていました。
ところが会議後に2人で話す機会があり、印象が一変します。
その人は論点を持ち帰り、調べたうえで結論を整理し、筋道立てて説明してくれました。私が「なぜ会議中に言わなかったの?」と聞くと、こう答えました。
「不確定なことがあったので、確証が持てない状態で発言するのを控えていました」

その瞬間、私は恥ずかしくなりました。
発言が少ないのは消極性ではなく慎重さだった。
沈黙は思考停止ではなく、整理するための時間だった。
会議中の「見え方」で人を判断していた私自身に対する恥ずかしさです。
■「自動的な解釈」が立ち上がる怖さ
この経験で痛感したのは、間違えたことそのものより、
自分の中で解釈が勝手に立ち上がっていたという事実でした。
最近は、こうした無意識の思い込みを
「アンコンシャスバイアス」と呼ぶそうです。
偏見というより「分かりやすさに引っ張られる癖」。
誰にでも起きるし、ゼロにはできない。
だから大切なのは、「今、自分は事実だけをそのままとらえているのではなく、解釈しているな」と気づけるかどうかです。
■年長者ほど、注意が必要になる理由
年齢を重ね経験を積むほど「だいたい分かる」が増えてきます。
判断が速くなり、自信もつく。
これは強みです。
ただ、判断が速いほど観察が追いつかない瞬間がある。
すると、判断の「確度」が上がったような錯覚に陥ってしまう。
特に年長者ほど言葉に重みが出る分、こちらは評価のつもりでも、相手には決めつけ、として届くことがあります。
そして、アンコンシャスバイアスが怖いのは、それが「言い方」に直結することです。
解釈を事実だと思い込むと、確認を飛ばして相手を動かしにいく。
つまり、解釈がそのまま指示命令になりやすいのです。
そのため、結論を急ぐことより、その結論に飛びつく前に、確認する余裕を持つことが大切だと思います。
■指示ではなく、お願いにする理由

現在、私は、依頼を「指示」ではなく「お願いする」よう意識しています。
なぜなら、「お願い」には互いの前提をすり合わせる余白があるからです。
良くない例:「これ今日中にやって」
良い例:「今日中だと助かる。難しければ、いつならいけそう?」
お願いにすると、相手は不確定な点や優先事項、懸念点を言いやすくなります。
するとこちらも「自分の解釈が事実ではなかった」と早い段階で気づくことができます。
確かに、あのとき会議で黙っていた人も、不確定さがあるから発言を控えていました。
もし私が「意見がないなら任せない」と決めつけて指示していたら、慎重さという強みを潰していたかもしれません。
■外部の目で、思い込みをほどく
これまで述べてきたように、経験が増えるほど、自分の見方に自信がつきます。
だからこそ、自分の頭だけで完結させず、外部の目を借りるのが有効だと思います。信頼できる同僚に一言聞くでもいいし、文章にして読み返すでもいい。
最近は、AIに「この依頼、決めつけや命令っぽさがないか」を確認するだけでも、思い込みに早く気づけることがあります。
AIは正解をくれるというより、見落としていた別の見方を一度出してくれる。その一手間が、言い方とともにその人との関係を守ってくれます。
■同じ経験をした人へ(3ステップ)
もし、声の大きさで人を見てしまう瞬間があるなら、まずは次の3つだけ、心がけてはいかがでしょうか。
「今、自分は事実をそのまま見ているのではなく、事実を解釈している」状態だと気づく
指示を「お願い」に変える
AIや第三者の目で、自分の考えを事前に確認する
経験が増えた今こそ、その確信を自身で点検できる人が強い。
私はそう思っています。
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