AIでアプリを作った。でも、誰にも認知されない。
こんにちは、こんばんは。
僕はAI専門のコンサルタントとして働いている。
普段は企業のAI活用や、データ分析、業務改善、生成AIを使った新しい取り組みなどに関わっている。仕事柄、AIの進化はそれなりに近い場所で見てきたつもりだ。
今日はアプリ開発の領域について書いてみる。
少し前まで、アプリを作るという行為には、それなりに高い壁があった。プログラミングの知識が必要で、環境構築が必要で、フロントエンドやバックエンドの理解が必要で、データベースや認証やデプロイの知識も必要だった。
もちろん今でも、それらの知識が不要になったわけではない。
ただ、入口の高さは明らかに変わった。
Claude CodeのようなAIコーディングツールを使えば、アイデアを言葉で伝えながら、かなり実用的なアプリを作れてしまう。
エラーが出れば、そのエラーを貼る。仕様を変えたければ、変更したいことを伝える。画面の見た目が気に入らなければ、もう少しこうしてほしいと頼む。
それだけで、コードが書き換わる。
昔なら数日かかったことが、数分で進むこともある。
これは大げさではなく、かなりすごいことだと思う。
アイデアを形にするコストが下がった
アプリ開発において、一番大きな変化は「作れる人」が増えたことではないと思う。
本質的には、アイデアを形にするコストが下がったことだ。
何かを思いついたとき、多くの場合、そのアイデアは頭の中で終わる。
「こんなアプリがあったら便利かもしれない」
「こういうツール、自分なら使う気がする」
「この面倒な作業、自動化できるのでは」
そう思っても、実際に作るとなると話は別だった。
コードを書けない。
作り方がわからない。
誰かに頼むほどの予算はない。
エンジニアを探すのも面倒。
そもそも、そこまでして作る価値があるのかもわからない。
そうして、多くのアイデアは静かに消えていく。
でも今は、かなり雑なアイデアでも、とりあえず形にできる。
完成度は高くなくていい。まず動くものを作ってみる。
そのうえで、使いながら直す。気に入らなければ捨てる。
よさそうなら磨く。
このサイクルを、個人でも回せるようになってきた。
これは本当にいい時代だと思う。
昔なら「いつか作りたいな」で終わっていたものが、「ちょっと作ってみるか」に変わった。
思いつきと実装の距離が、かなり縮んでいるのだ。
アプリを実際にリリースしてみた
実は、僕自身も、Claude Codeを使ってアプリを2本ほど作ってリリースしてみた。
もともとエンジニアとして本格的にキャリアを積んできたわけではない。コードを読むことや、技術的な考え方に触れることはできるが、自分一人でアプリを作りきる経験は多くなかった。
それでも、Claude Codeを使うと面白いように作業が進む。
仕様を伝える。
実装してもらう。
動かす。
微修正してもらう。
壊れる。
直してもらう。
この繰り返しだ。
途中でわからないことはちらほら出てくる。デプロイで詰まる。認証周りで詰まる。思っていたより画面がダサい。スマホで見たら崩れる。なぜか本番環境だけ動かない。
それでも、以前ならそこで止まっていたものが、今はAIがすぐに解決してくれる。
最終的には、ちゃんと公開できた。
これは小さいことのようで、自分にとってはかなり大きかった。
「自分でも作れるんだ」と思えたからだ。
ただし、ここからが問題だった。
作れることと、届くことは別の話
アプリはリリースした。
しかし、まったくダウンロードされなかった。
それどころかストアページすらろくに閲覧されていない。
鳴かず飛ばず。
静かなものだった。
もちろん、世の中はそんなに甘くない。作ったから見てもらえるわけではない。公開したから使ってもらえるわけでもない。
どれだけ自分では便利だと思っていても、それが他人に届くとは限らない。
ここでようやく、当たり前のことに気づく。
アプリ開発のハードルは下がった。
でも、認知されるハードルは下がっていない。
むしろ、別の意味では上がっているのかもしれない。
なぜなら、作れる人が増えたからだ。
AIによって、個人がアプリを作れるようになった。これはすばらしいことだ。ただ、その結果として、似たようなアプリ、便利そうなツール、小さなプロダクトはどんどん増えていく。
つまり、作れるだけでは差別化にならない。
動くものを作っただけでは、誰にも見つけてもらえない。
「いいものなら届く」はたぶん幻想
昔からよくある言葉に、「いいものを作れば届く」というものがある。
この考え方には、少しだけ希望がある。
ちゃんと価値のあるものを作れば、誰かが見つけてくれる。便利なら自然に広まる。品質が高ければ、口コミで伸びる。
そういうことは、もちろんあると思う。
でも、それはかなり例外的なケースでもある。
多くの場合、いいものでも普通に埋もれる。
いい記事も埋もれる。
いいアプリも埋もれる。
いいサービスも埋もれる。
いいアイデアも、誰にも見つからないまま終わる。
これは悲観ではなく、現実だと思う。
インターネット上には、すでに情報が多すぎる。アプリも多すぎる。サービスも多すぎる。
誰もが何かを発信していて、誰もが何かを作っている。
その中で、自分の作ったものだけが自然に見つかると考えるのは、無理があるのかもしれない。
作ることと同じくらい、届けることを考えなければいけない。
認知されるには、何が必要なのか
では、作ったアプリをどうやって認知してもらうのか。
実はここはまだ、僕自身も考えている途中だ。
ただ、いくつかの方向性はあると思う。
たとえば、誰に向けたアプリなのかを明確にすること。
「誰でも使える」は、たぶん弱い。
誰でも使えるものは、誰にも刺さらないことが多い。最初はもっと狭くていい。特定の仕事をしている人。特定の趣味を持っている人。特定の面倒ごとに悩んでいる人。そういう小さな対象に向けたほうが、言葉は強くなる。
次に、アプリそのものではなく、課題を語ること。
「こういうアプリを作りました」だけでは、あまり読まれない。
それよりも、「こういう面倒なことがある」「この作業が地味に苦痛だ」「この悩みをこう解決したかった」と語ったほうが、入り口としては強い。
人はアプリに興味を持つというより、自分の困りごとに興味を持つ。
その困りごとの先に、アプリがある。
そして、作る過程を見せること。
完成品だけを出しても、なかなか反応は得にくい。けれど、作っている途中の試行錯誤や、失敗や、改善のログには、人が入り込む余地がある。
AIでどう作ったのか。
どこで詰まったのか。
何を諦めたのか。
なぜその機能を入れたのか。
リリース後に何が起きたのか。
そういう過程そのものが、コンテンツになる。
アプリを作ることと、アプリについて語ることは、セットで考えたほうがいいのかもしれない。
AI時代の個人開発は、開発より編集に近い
AIでアプリを作っていて感じるのは、開発というよりプロデュースに近いということだ。
もちろんコードは存在する。技術的な判断も必要になる。ちゃんと作ろうとすれば、学ぶべきことは多い。
ただ、AIを使った個人開発では、ゼロからすべてを書いていくというより、AIが出してきたものを見て、判断し、直し、方向づけていく感覚が強い。
何を作るのか。
何を作らないのか。
どこまで作り込むのか。
どこで妥協するのか。
誰に使ってほしいのか。
どういう体験にしたいのか。
こうした判断の積み重ねが、プロダクトを形作っていく。
つまり、重要なのはコードを書く力だけではない。
問いを立てる力。
違和感に気づく力。
使う人を想像する力。
言葉にする力。
捨てる力。
こういうものの重要性が、むしろ上がっているように感じる。
AIが作ってくれる時代だからこそ、人間側のプロデュース力が問われる。
これからは「作れる人」より「届けられる人」が強い
これから、AIを使ってアプリを作る人はもっと増えると思う。
個人でも、学生でも、会社員でも、非エンジニアでも、ちょっとしたアイデアを形にできるようになる。
それ自体はとてもいいことだ。
ただ、その先で差がつくのは、作れるかどうかではなく、届けられるかどうかになっていく気がする。
誰に向けて作るのか。
どういう言葉で伝えるのか。
どこで発信するのか。
どんな文脈に乗せるのか。
どう改善し続けるのか。
ここを考えないと、アプリは誰にも使われないものとなる。
僕が作った2本のアプリも、まさにそうだった。
作った。
出した。
でも、届かなかった。
普通に悔しい。
でも同時に、かなり面白いテーマでもある。
作ることはできるようになった。
では、どう届けるのか。
この問いは、たぶんこれから個人開発をする人にとって、かなり重要になる。
インフルエンス力を持っている個人が輝く時代になるだろう。
いい時代ではある。でも、簡単な時代ではない
AIによって、アイデアを形にする力は多くの人に開かれた。
これは本当にいい時代だと思う。
自分の中にある小さな不便や、ちょっとした妄想や、誰に頼まれたわけでもないアイデアを、実際に動くものにできる。
その感覚はかなり楽しい。
一方で、作ったものが誰かに届くかどうかは、まったく別の問題として残っている。
むしろ、そこからが本番なのかもしれない。
AIは、作る力を拡張してくれる。
でも、何を作るか、誰に届けるか、どう伝えるかまでは、まだこちらが考えなければいけない。
僕はこのあたりを、もう少し試してみたいと思っている。
Claude Codeで作ったアプリが鳴かず飛ばずだったことも、失敗というより、最初の観察結果として扱いたい。
作れるようになった時代に、どうすれば届くのか。
しばらくは、この問いを考えながら、また何かを作ってみるつもりだ。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
AIを使った個人開発や、作ったものをどう届けるかについて、これからも試行錯誤を書いていきます。
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