RAGとは?「自社の知識で答えさせる」ための現実的アプローチ
RAG(Retrieval-Augmented Generation)は、生成AI(LLM)に社内ドキュメントやナレッジを検索させ、その結果を材料に回答を生成させる仕組みです。モデル自体を学習し直す(ファインチューニング)よりも、速く・安く・安全に「自社向けAI」を作りやすいのが魅力です。
ざっくり言うと、RAGは次の2段構えです。
- Retrieval(検索):質問に関連する社内データ断片を探す
- Generation(生成):見つけた断片を根拠としてLLMが回答を作る
ポイントは、LLMが“知ったかぶり”をしやすい領域(規程、製品仕様、契約、FAQ、手順書など)ほどRAGが効くこと。逆に、社内データに存在しない情報まで正確に当てる用途には向きません。
まず押さえたい全体像:RAGの標準アーキテクチャ
典型的なRAGは次の流れです。
- データ収集(PDF / Confluence / Notion / SharePoint / Google Drive / DB など)
- 前処理(OCR、不要部分除去、正規化、メタデータ付与)
- チャンク化(文章を適切な長さに分割)
- 埋め込み(Embedding)(チャンクをベクトル化)
- ベクトルDBに格納(検索できる形にする)
- 検索(類似検索+フィルタ、必要なら再ランキング)
- プロンプト合成(検索結果を根拠としてLLMへ投入)
- 回答生成(引用・根拠・注意書きなどを整形)
- 評価・監視(精度、幻覚、漏えい、コスト、レイテンシ)
失敗しないコツ①:ユースケースを「質問の型」で決める
RAGは万能ではないので、最初に質問の型を定義すると成功率が上がります。おすすめは以下のように3分類することです。
- 検索型:該当箇所を探して要約(例:経費精算のルールは?)
- 手順型:社内手順をステップ化(例:障害時の一次対応は?)
- 判断支援型:規程や仕様を根拠に条件分岐(例:このケースは返品対象?)
最初は「検索型」から始めるのが鉄板です。評価もしやすく、社内の信頼も取りやすいです。
失敗しないコツ②:データ整備は“AIのため”にやりすぎない
「データを完璧にクレンジングしてから…」とやりがちですが、RAGでは価値の高いデータから小さく始めるほうが進みます。おすすめの優先順位は次の通りです。
- FAQ・問い合わせ履歴(質問文がそのまま検索キーになる)
- 規程・マニュアル(根拠が明確で評価しやすい)
- 製品仕様・リリースノート(更新頻度が高いほどRAGが効く)
- 議事録・チャットログ(ノイズも多いので後回し推奨)
PDFが多い場合はOCR品質がボトルネックになります。スキャンPDFが混じるなら、まずは文字が取れる状態になっているかを確認しましょう。




