日立やNEC、フィジカルAIで脱「人月商売」 リアルな現場も効率化

日経XTECH / 2026/4/9

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要点

  • 日本のIT企業は、工場・小売・物流などの現場課題にフィジカルAIを適用し、人月商売に依存しない収益源を作ろうとしている。
  • 日立製作所は鉄道分野で保守コストを最大15%削減するなど、物理環境への作用を含む形で現場効率化を進めている。
  • NECは人間の「世界モデル」を用いて、人に配慮したロボット制御を実現する方針を示している。
  • 日立の枠組みは物理層(エッジ/既存システム)、データ層、プレゼンテーション層の3階層で構成され、人とAIエージェント/ロボットの協業を促す。
  • エッジ端末でデータ収集→AI/エージェントが判断→作業指示やロボット制御へ、といった連携を既存システムと接続しながらドメイン知識で高度化する。

この記事の3つのポイント

  1. 日本のIT企業は業務特化型のフィジカルAI事業に注力
  2. 日立製作所は鉄道分野で保守コストを最大15%削減
  3. NECは人間系世界モデルで人にやさしいロボット制御を実現

 日本のIT企業がフィジカルAI(人工知能)を駆使し、「人月商売」に代わる新たな収益源を生み出そうとしている。従来のオフィスワークの業務効率化に加えて、工場や小売店、物流施設といった現場における課題を解決する事業へと拡大させる。従来事業で得た「ドメインナレッジ」も生かしながら、新たな事業モデルの構築を目指す。

AIを活用して現場作業の効率化や安全性向上などにつなげるフィジカルAI事業に国内IT企業が力を注いでいる(出所:図は日経クロステック、写真は日立製作所)
AIを活用して現場作業の効率化や安全性向上などにつなげるフィジカルAI事業に国内IT企業が力を注いでいる(出所:図は日経クロステック、写真は日立製作所)
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 「人がAIエージェントやロボットと協働したり、仕事を任せたりできる世界を実現したい」。日立製作所でフィジカルAI事業を主導する黒川亮氏(AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット事業主管)は、同事業の狙いをこう語る。

日立製作所の黒川氏は、人がAIエージェントやロボットと密接に連係する世界を目指す(写真:村田和聡)
日立製作所の黒川氏は、人がAIエージェントやロボットと密接に連係する世界を目指す(写真:村田和聡)
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 フィジカルAIは一般に、ロボットや機械を自律的に制御するAIを指す。だが、日立が範疇(はんちゅう)とするフィジカルAI事業は、それだけにとどまらない。AIを活用して物理的な環境に作用して、現場作業の効率化や安全性の向上、製品の歩留まり向上などにつながる取り組みまで含めている。エッジ端末からデータを収集し、そのデータを基に人やAIエージェントが判断し、作業の指示を出す。時にはロボットも制御し、作業支援などの行動に移す。その際、既存システムと連係しつつ、現場に応じたドメインナレッジ(業界の知見・ノウハウ)を活用し、高度な知覚・認知・判断・計画・行動を可能にする。これらが、日立の目指すフィジカルAIの枠組みである。

 この枠組みでは、大きく3つの階層がある。物理層、データ層、プレゼンテーション層だ。物理層には、現場の既存システムやエッジ端末(エッジコンピューティング)が存在する。この物理層で取得できるデータを集約するのがデータ層である。このデータを基に、プレゼンテーション層で工場責任者や作業員、AIエージェント、フィジカルAIに向けて、それぞれが理解しやすいユーザーインターフェースやデータ形式に変換する。これにより、人とAIエージェント、ロボットの協業を容易にする。

現場データを活用し、人とAIエージェント、ロボット(フィジカルAI)が協働しやすい枠組みを日立は提供する(出所:日立の資料を基に日経クロステック作成)
現場データを活用し、人とAIエージェント、ロボット(フィジカルAI)が協働しやすい枠組みを日立は提供する(出所:日立の資料を基に日経クロステック作成)
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