生成AIネーティブ「Wave Terminal」、ログのコピペなしでAIが的確に助言

日経XTECH / 2026/4/23

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要点

  • Wave Terminalは、ネットワーク機器の設定・状態確認などに使うターミナルを「生成AI対応ツール」に置き換えるアプローチを提示するソフトウェアとして注目されている。
  • 同ツールはAIネーティブ設計を掲げ、ターミナルのほかAIチャット、Webブラウザー、テキストエディター、ファイルプレビュー等のウィジェットを1画面のワークスペースとして統合する。
  • 内蔵AIがワークスペース全体を認識・操作できるため、ユーザーが問い合わせる際の状況理解が進み、より的確な助言が期待できる。
  • デフォルトでAIチャット「Wave AI」が左側に表示され、ターミナル操作中に分からないことを質問してヒントを得る使い方が想定されている。

 生成AI(Artificial Intelligence)の普及に伴い、日々のデスクワークではAIの活用が当たり前になりつつある。しかしネットワークの現場では、AIを十分に活用できていない、あるいは「どう業務に取り入れればよいのか」と悩んでいるケースも多いのではないか。

 生成AIをうまく活用できれば便利なことは分かっている。しかしネットワークは様々な業務システムを支える基盤だけに、生成AIによってトラブルが生じるのは避けたい。そんな心理が働き、本格的な活用には二の足を踏んでしまうのも理解できる。

 そこで本稿では、ネットワークエンジニアが業務に生成AIを無理なく取り入れられる新しいアプローチを提案したい。ネットワーク機器の設定や状態の確認に利用するターミナルソフトを、生成AI対応のツールに置き換えるというものだ。

 実際、ターミナルソフトにも生成AIの波が訪れつつある。「AIネーティブ」をうたう「Wave Terminal」というソフトが注目を集めているのだ。Wave Terminalの特徴やユースケース、導入方法などを3回に分けて紹介していく。

AIがワークスペース全体を認識・操作

 Wave Terminalは、米スタートアップのCommand Line(コマンドライン)がオープンソースとして公開しているターミナルソフトだ。一般的なターミナルソフトと同様に、機器の設定や状態をCLI(Command Line Interface)で確認・変更する機能を備える。OS(Operating System)はWindows、macOS、Linuxにそれぞれ対応する。

 最大の特徴は「AIネーティブ」を掲げていることだ。最近はAI機能を追加するツールも増えているが、Wave Terminalは最初からAIとの連係を前提に設計している点で異なる。

図1 様々なウィジェットが1つの画面に配置されている
図1 様々なウィジェットが1つの画面に配置されている
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 AI前提の設計を象徴するのは「ワークスペース(作業環境)」だ。中核となるターミナルの他に、AIチャット、Webブラウザー、テキストエディター、ファイルプレビューといった「ウィジェット(ブロック)」を1つの画面に配置する。このワークスペース全体を内蔵するAIが認識・操作できるようにしている。

 この設計によって、AIチャットがワークスペースで展開されている様々な「状況」を理解して動作する。状況を理解しているため、ユーザーからの問い合わせに対して的確な回答が期待できる。

ターミナルやAIチャットを1画面に配置

 実際のワークスペースを確認していこう。Wave Terminalはターミナル、AIチャット、Webブラウザー、テキストエディターなどがそれぞれ、独立したウィジェットとして画面内に配置される。

 デフォルトでは画面左にAIチャットのウィジェット「Wave AI」が配置される。ユーザーはこのウィジェット内でAIとやり取りする。例えばターミナルソフトを使ってネットワーク機器を操作している際に分からないことがあったら、Wave AIに質問してヒントを得られる。

 手始めに「よろしく。」と入力してみよう。ワークスペース上で開いている他のウィジェットについて返答することを確認できる。

図2 AIチャット「Wave AI」とやり取りする様子
図2 AIチャット「Wave AI」とやり取りする様子
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コピペなしでAIと「文脈」を共有

 生成AIに質問する際に重要なのが、文脈や状況に関する情報である「コンテキスト」だ。コンテキストを正確に把握しているほど、生成AIは的確な回答を返す。

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例として、ターミナルでネットワーク機器の状態を確...

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