【Gemini Enterprise 活用術】生成 AI、導入したのに誰も使わない?
こんにちは、Google の AI「Gemini(ジェミニ)」の公式 note 編集部です。
新しい生成 AI ツールが会社に導入されても、最初の数日触っただけで、いつの間にか元のやり方に戻ってしまう。そんな経験に覚えはありませんか。
先日の Agentic AI Summit ‘26 Spring で、まさにこの課題を突破した 2 社の話が語られました。AI を新入社員として現場に迎え入れるユニークな施策で、利用率を大きく引き上げた博報堂アイ・スタジオと、AI 同士が自律的に連携するデモで会場を沸かせた野村総合研究所。今回はこの 2 社の取り組みをお伝えします。
Google Cloud の岡本氏はセッションでこう投げかけました。
AI エージェントの有効性は、LLM 自体の賢さではなく、アクセスできるコンテキストの有効性でほぼ決まる。
個人の Gmail やドキュメントだけでなく、CRM や社内データベースといった企業固有の情報を AI に繋ぐ。Gemini Enterprise はそのための基盤であり、セキュアな環境で自社専用の AI エージェントを構築できる、いわば、全社のデータを繋ぐ役割を担います。
AI が使えないのではなく、AI に社内のデータを繋いでいないから使えなかっただけ。この発想の転換が、2 社の挑戦の土台になっています。
博報堂アイ・スタジオの人間中心アプローチ
Gemini を全社導入した当初、日常的に使っていた社員はわずか 16%。1 年後の目標を 70% に置いたものの、当時の現場には「動きたくても、動けない」空気が漂っていたといいます。日々変わる AI ニュース、昨日までの正解が今日は通用しない機能の変化、職種やリテラシーもバラバラな社員たち。AI 推進には共通の「正解」がなかったのです。
同社が選んだのは高機能なシステムを配ることではなく、非エンジニアのプロデューサーや UX デザイナーを中心に専門組織・ビジネス・トランスフォーメーションユニット(Business Transformation Unit, BXU)を立ち上げ、人間中心設計で AI の定着を図る道でした。

BXU の施策はどれも地に足がついています。実務に即したワークショップで明日の業務が楽になる小さな成功(Quick Win)を体感させる。社員同士が便利なプロンプトを共有できる Prompt Hub を構築する。とりわけ印象的なのが、自社開発の AI エージェントを新入社員として現場にデビューさせたこと。最初から完璧を求めず、未熟な新入社員として迎え入れることで、現場が AI のミスも温かく見守り一緒に育てていく仲間意識が生まれました。

裏側では Gemini Enterprise のガバナンス機能が実務を支え、アクセス権限の細やかな制御で現場発のアイデアを安全に実装できる。
技術面では、Agent Designer を使ってインシデント対応のフローをノーコードで構築しています。初期ヒアリングから原因分析・対策立案までをワンストップで処理し、サブエージェントに役割分担させることでハルシネーションも大幅に低減。分析データへのアクセスは部署長以上に限定するなど、権限制御も細かく効かせています。BXU は日々のチャットログや Q&A を BigQuery に蓄積し、人が AI のミスを訂正した記録も学習データとして活用しています。
AI 同士が議論し、企画書を書き直す。野村総合研究所のマルチエージェント
博報堂アイ・スタジオが人をどう動かすかに注力したのに対し、野村総合研究所が見せたのは AI そのものが新しいビジネスの形をつくる姿でした。同社は AI 活用を 3 ステージで捉え、セッションで披露された 2 つのデモはステージ 3 の世界をはっきりと予感させるものでした。

ひとつめは AI ペルソナエージェント。1997 年から蓄積した消費者の価値観データ等を活用し、心理傾向や消費価値観まで組み込んだリアルな AI ペルソナを数百人規模で構築。ターゲット条件を絞って一斉にアンケートをとり瞬時にグラフ化する。気になるペルソナには Gemini Live API を使った AI アバターが音声で語りかけ、本音を深く聞き出す。さらにファシリテーター AI が複数のペルソナ AI に質問を投げかけ、AI 同士でパネルディスカッションを実施。議論を踏まえた企画書の改善案まで自動生成されます。

ふたつめは複数の AI を束ねるオーケストレーター型の旅行提案エージェント。ユーザーが旅行に行きたいとチャットするだけで、裏側では司令塔 AI がホテル専門、交通専門、観光スポット専門の各エージェントに指示を出し、Vertex AI Agent Engine の長期記憶や外部 API と連携してタイムスケジュール付きの旅のしおりを丸ごと提案。たとえば、「移動時間が長い」とフィードバックすれば、各エージェントが即座にプランを引き直します。

汎用 AI に丸投げするとハルシネーションが起きやすい複雑なタスクも、専門 AI を司令塔が束ねるマルチエージェント構成にすることで精度と実行力が飛躍的に高まる。Vertex AI Agent Engine と Gemini が実現する新しい AI の使い方です。
企業の独自データを永続的な知能にする
現場発の知見を AI と共に育てていく博報堂アイ・スタジオと、複数の AI を連携させて新しい企画や提案の形を生み出す野村総合研究所。企業に眠る独自データを BigQuery や Gemini Enterprise と結びつけ、使うほど賢くなる資産へ変えていくビジョンは共通しています。
目の前のちょっとした面倒な作業を、まず身近な AI に託してみる。そこから生まれる小さな余裕とワクワク感が、やがて会社全体の景色を変えていくはずです。
あなたとチームが持つ独自の知見を活かし、明日の仕事をもっと楽しく、もっと創造的なものにするために。Google Cloud はいつでも、新しい挑戦を一緒に始める準備ができています。
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