英Armは3月24日(米太平洋時間)、米カリフォルニア州サンフランシスコで開催したイベントで、同社初の自社開発チップ「AGI CPU」を発表した。同社は35年以上にわたる歴史の中で、これまで主にプロセッサのIPライセンス供与や「Arm Compute Subsystems(CSS)」などの設計情報の提供を行っており、自社設計のシリコン製品としてプロセッサを直接提供するのは今回が初めての試みとなる。
AGI CPUは、ソフトウェアが自律的にタスクを調整し意思決定を行う「エージェンティックAI」のインフラ需要の急拡大を背景に開発された。AIシステムが大規模かつ継続的に稼働するようになり、データセンターでの推論やワークロードのオーケストレーションが複雑化する中で、既存のx86プロセッサなどでは制約が生じるケースがあるとし、電力効率と大規模な並列処理を両立する新たなプロセッサが求められていたとArmは説明する。
「Arm Neoverse V3」コアを最大136基搭載し、最新のx86システムと比較してラック当たり2倍以上のパフォーマンスを提供する。1OU(OpenU)サイズの高密度なブレード設計により、標準的な空冷ラックで最大8160コア、米Supermicroとの提携による液冷システムでは約4万5000コア以上を搭載でき、1ギガワット(GW)規模のデータセンター当たり最大100億ドルの設備投資削減を可能にする高い電力効率と処理能力を備える。
このチップの開発では、米Metaがリードパートナーおよび共同開発者として中核的な役割りを担った。Metaは自社の大規模なアプリインフラのパフォーマンス密度を最適化し、独自のカスタムAIアクセラレータである「MTIA」と効率的に連携させるプラットフォームとしてAGI CPUを位置付けている。さらに、MetaはこのCPU向けのボードやラックの設計を、今年後半に「Open Compute Project」(OCP)を通じてオープンソースとして公開する予定だ。
既に注文の受け付けを開始しており、台湾ASRock Rack、中国Lenovo、台湾Quanta Computer、Supermicroなどのパートナー企業を通じて早期システムが利用可能で、今年後半にはより広範な提供が開始される見込みだ。AGI CPUに対しては、米OpenAIや米Cerebras、米Cloudflare、独SAP、韓国SK Telecom、日本のアドバンテストとソシオネクストをはじめとする50社以上のテクノロジー企業が支持や導入を表明しており、次世代AIインフラの重要な中核を担うことが期待されている。
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