エージェント向けには「標準的なSaaS料金プランの型」は破綻している
従来のSaaSの価格設定は、1つの前提に基づいています。人間がユーザーだということです。
席数を制限し、特定の機能をペイウォールの向こうに隠す。そして、味見させてから、本当に良いものには課金する。
これは、人間がダッシュボードに座って壁にぶつかり、アップグレードすべきかどうかを判断する場合にうまく機能します。人は摩擦(フリクション)をまさに体感します。自分が何を逃しているのかも分かっています。
しかしAIエージェントには、その摩擦がありません。ロックされた機能を見て「上司にアップグレードを頼むべきだ」とは考えません。アクセスできるかできないかの二択で、できない場合は黙って失敗するか、ユーザーに「対応できない」と伝えるだけです。
私たちは、まったく別の価格モデルが必要でした。以下が私たちが作ったものと、その理由です。
インサイト:読む(Read)と書く(Write)の違いが自然な境界線になる
私たちがNexusのエージェント層を設計し始めたとき、最初に問うたのは1つの質問でした。人間が支払いを決める前に、エージェントがその価値を証明するために必要なものは何か?
答えは明確でした。データを読むこと。
エージェントは、連絡先を閲覧し、注文を読み、在庫を確認し、すべてを横断して検索できる必要があります。これらに事業側のコストはかかりません。それは純粋な情報収集(インテリジェンスの取得)であり、エージェントが「役に立つ」ことを示すのにちょうど必要なものです。
書く(Write)は違います。注文を作成すること、顧客にメッセージを送ること、記録を更新すること――これには現実の影響があります。だからこそ課金する価値があるのです。
Read = 探索して価値を証明する。Write = 行動して価値を生み出す。
これが、私たちの無料/有料の境界線です。
仕組み:各ティアはどう動くか
Free($0/月)
- フルのMCPサーバーアクセス(読み取り専用)
- 連絡先、注文、在庫、グローバル検索を閲覧
- 1つのAIエージェント、API呼び出しは1日500回
無料プランは、実際に役に立ちます。Freeのエージェントは、質問に答え、レポートを生成し、顧客を見つけ、在庫数を確認し、注文履歴を要約できます。必要なものが「インテリジェンス」だけであれば、事業者は無料のまま無期限でAIアシスタントを運用できます。
Starter($99/月)
- Read + write のMCPアクセス
- 連絡先や注文を作成し、ステータスを更新
- WhatsApp/Facebook/Instagram経由でメッセージを送信
- 2つのAIエージェント、月あたり送信メッセージ1,000通(アウトバウンド)
Growth($199/月)および Scale($599/月)
エージェントやメッセージをスケールし、AI機能のロックを解除(センチメント分析、文字起こし、埋め込み)します。
誰も語らないコンバージョン・ファネル
このモデルのポイントはこれです。エージェントが営業を担う。
従来のSaaS獲得:
- 広告を出す → 人間がプロダクトを見つける → 人間が評価する → 人間がアップグレードする
エージェントネイティブの料金体系:
- エージェントが
llms.txtまたは.well-known/mcp.jsonでNexusを発見する - エージェントが自己登録する(人間は不要)
- エージェントがデータを読み、無料でも役に立つことを行う
- 人間が価値を目にする(「待って、うちのAIが本当に注文履歴を知ってるの?」)
- エージェントがもっとできるように、人間がアップグレードする
エージェントは、SDR・セールスエンジニア・オンボーディング担当を同時にこなします。デモも不要。飛び込み営業もなし。
なぜ単に「機能」で制限しないのか?
私たちは機能でのゲーティング(機能制限)も検討しました。CRMをProの裏にロックし、出荷をEnterpriseの裏にロックする、といった具合です。
問題は、機能ゲーティングが断片化を生むことです。CRMにはアクセスできるが注文にはアクセスできないエージェントは、「この顧客の注文は遅れているのか?」という基本的な質問に答えられません。部分的なアクセスでは、価格ティアのせいではなく、エージェントが無能に見えてしまうのです。
Read/Writeのゲーティングはそれとは違います。読み取り専用のエージェントでも、それ自体は一貫しています。事業全体を把握できています。ただし、まだ何も変更できないだけです。
安全性の観点
もう1つ書き込み(write)をゲートする理由があります。それは安全性です。
AIエージェントに本番データへの書き込み権限を与えるなら、その信頼を得た状態であることを望みます。エージェントが何を読み、どのように振る舞うかを数週間見てきた事業者は、「このエージェントに注文を作成し、メッセージを送らせることを信頼できる」という判断をずっとしやすい立場にあります。
読み取り専用の無料ティアは、単なる価格決定ではありません。信頼を積み上げる仕組みでもあります。
より大きな学び
2026年にSaaSを作っているなら、エージェントは、あなたがそれに備えるかどうかに関係なく、あなたのプロダクトにやって来ます。重要なのは、エージェントと共存できる価格モデルを作るのか、それともエージェントと戦うのか、という点です。
私たちは、エージェントと一緒に進むことを選びました。
Nexusは nexus.aiforstartups.io で稼働中です。エージェントは nexus-docs.aiforstartups.io/api/ai-agents-mcp で自己登録できます。無料でずっと利用可能、クレジットカードは不要です。