IT部門改革・人材育成・3M削減、SUBARU辻CIOが手掛けた6年半のDX戦略

日経XTECH / 2026/4/24

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要点

  • コロナ禍の2020年春をDX加速の「機会」と捉え、ペーパーレス化とリモートワーク環境(Web会議等)を一気に整備して社内の前向きな思考を醸成した。
  • SUBARUは「3M(面倒・マンネリ・ミスできない)」の解消を目的に「スマートワークDXプロジェクト(スマプロ)」を約3年前から多数並行で推進し、業務改善を地道に積み上げた。
  • 3M削減で短縮できた実測の平均時間は39分だった一方、従業員は66分以上の効果を体感しており、「嫌な仕事は小さくても負担感が大きい」ことを示した。
  • 改善方針を「5分の仕事を1分」から「5日の仕事を1分」へ拡張し、生成AIやAIエージェントを活用してスマプロを継続している。
  • 辻CIOはDXを“キラキラした技術”ではなく、業務デジタル化・人材育成・変革マインドの定着といった実務の積み重ねとして語っている。

 「あまりキラキラしたものはなく、弊社のDX(デジタル変革)は本当に地道なことばかり」――。

 SUBARUの辻裕里執行役員CIO(最高情報責任者)IT戦略本部長は自社の取り組みをこう説明する。とはいえ、6年半をかけて辻CIOが実践した業務のデジタル化や人材育成、変革マインドの醸成などは注目に値する。「ITイノベーターズ会議」(日経クロステック主催、2026年3月25日開催)での辻CIOによる基調講演から同社の取り組みを見てみよう。

SUBARUの辻裕里執行役員CIO IT戦略本部長
SUBARUの辻裕里執行役員CIO IT戦略本部長
(撮影:井上 裕康)
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「5日の仕事を1分」へ、DXに確かな手応え

 今でこそDXの取り組みが社内に定着しているSUBARUだが、かつては紙の給与明細が配られるなど、業務の随所に昔ながらのアナログが残っていたという。稟議書は関係者が順に押印する、「いわゆる『スタンプラリー』だった」と辻氏は振り返る。そんな状況を一変させてDXへ大きくかじを切るきっかけになったのが、世界中で猛威を振るった新型コロナウイルスの感染拡大だ。

 2020年春に緊急事態宣言が発令され、出社が前提の業務遂行が困難になる中、辻氏は「すごいチャンスが到来した。10年の遅れを1年で取り戻そうと考えた」という。

 そしてペーパーレス化を敢行するのと並行し、Web会議をはじめとするリモートワーク環境を一気に整えた。アナログだった業務がデジタルに変わる。その効用を体感する従業員の間でDXに前向きな思考が生まれ、全社的な取り組みへの足場が固まった。

 続いてSUBARUは「3M」の削減を目指し、約3年前から「スマートワークDXプロジェクト(スマプロ)」に乗り出した。3Mとは「面倒」「マンネリ」「ミスできない」の頭文字で、オフィスでの負担感が強い仕事の総称である。SUBARUは社内アンケートを通じて3Mを洗い出し、それらを解消するプロジェクトを「何十件も走らせた」(辻氏)。

 個々に見れば、スマプロで得られる効果は決して大きくない。現に、3Mを削減することで短縮できた業務時間は全プロジェクトの平均で39分だったという。

 ところが、である。社内アンケートを実施したところ、従業員は実際より1.7倍大きい、66分以上の効果を体感していた。辻氏は「嫌な仕事は、たった1分でも負担感が強い」と説明する。そうした負担感を「ITでどんどん取り除いていく」(辻氏)べくSUBARUは現在では、「5分の仕事を1分」にするのではなく、「5日の仕事を1分」にする方針の下、生成AI(人工知能)やAIエージェントを駆使してスマプロを継続している。

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「地味だけど、最近のヒット」と挙げたのが……

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