AI は「答える」から「自律的に実行する」へ。Agentic AI で仕事はこう変わる

note / 2026/5/1

💬 オピニオンSignals & Early TrendsIdeas & Deep Analysis

要点

  • AIの役割が「質問に答える」から「目標に向けて自律的にタスクを実行する」方向へ移行する、という潮流を扱っています。
  • Agentic AI(エージェント型AI)の考え方により、仕事の進め方が“手順の指示”から“実行の委任”へ変わり得る点を示しています。
  • 自律実行が進むことで、担当者は結果の確認・方針設計・例外対応など、上流と統制寄りの役割比率が高まると説明しています。
  • 現場導入では、業務フローへの組み込みや安全性・信頼性確保といった実務論点が重要になる、という方向性が示唆されています。
見出し画像

AI は「答える」から「自律的に実行する」へ。Agentic AI で仕事はこう変わる

267
Gemini - Google の AI

こんにちは、Google の AI「Gemini(ジェミニ)」の公式 note 編集部です。

これまで AI といえば、「質問したら答えてくれるもの」でした。

先週ラスベガスで開催された Google Cloud Next '26 で、その前提が大きく塗り替わりました。これからの AI は、あなたに代わって、数時間から数日かかるような複雑な仕事を、最後までやり切ってくれる存在になります。

Google Cloud は、こうした自律的に動く AI の存在を エージェント(Agent)と呼び、企業のあらゆるプロセスがエージェントによって動く時代を エージェンティック エンタープライズ(Agentic Enterprise)と表現しています。今回の発表は、まさにエージェンティック時代の幕開けを告げるものでした。

この記事では、発表内容のうち日々の業務に直結するものを中心に、何が変わったのか明日からどう使えるのかをまとめてご紹介します。


Gemini Enterprise の全体像

Google Cloud は何を発表したのか。ポイントは 2 つです。

ひとつめは、「単発のタスクをこなす AI」から、「数時間〜数日にわたる複雑なワークフローを自律的にこなすエージェント」へ という、AI の役割そのもののシフトです。Google Cloud は今回、長時間にわたって状態を保持しながら動き続ける「長時間実行エージェント」(Long-running agents)をはじめ、エージェントの構築・運用・管理に必要な機能を一式そろえてきました。「進めておいて」とお願いされた仕事を、その場で答えるのではなく、何日もかけて段取り良く進めていく ― そんな働き方が、技術的に可能になったということです。

ふたつめは、「Gemini Enterprise」というサービスの位置づけそのものが、大きく変わったことです。これまで Google が企業向けに提供する AI サービスのひとつだった Gemini Enterprise は、エージェントの開発から日々の利用までを束ねるエージェンティック エンタープライズの中核プラットフォームとして再定義されました。

構成は大きく分けて「使う場所 / 作る場所 / つなぐ場所」 の 3 つの層と、Workspace Intelligence からなります。

① 使う場所:Gemini Enterprise app

全従業員にとっての「AI の入り口」。コードを書かずにエージェントを作れる Agent Designer、エージェント一覧の Agent Gallery、稼働中のエージェントを管理する Inbox in Gemini Enterprise などが揃う。

② 作る場所:Gemini Enterprise Agent Platform

エージェントの開発・運用・管理を担う基盤。ローコードで作れる Agent Studio、コードで本格開発できる ADK(Agent Development Kit)、安全に実行する Agent Runtime などが揃う。さらに、目的に応じて主要モデルを選べる Model Garden や、コンテキストを記憶する Memory Bank などもあります。
※ 詳細を知りたい方は、Google Cloud の公式ドキュメントや、開発者向けの解説動画(英語)、GitHub のチュートリアルもご覧ください。

③ つなぐ場所:パートナー エコシステム

Adobe、Salesforce、Oracle といった主要 SaaS 向けの特化型エージェントが、Gemini Enterprise app から直接使える。ゼロから作らなくても使える選択肢が大幅に広がりました。

すべてを支える Workspace Intelligence

これらの 3 層の足元で、Gmail、Google ドキュメント、Google スライド、Google ドライブ、スプレッドシート ― 日々の仕事道具の中にある情報を、Gemini が理解し、つなげて考える役割を担うのが Workspace Intelligence です。

これによって AI は、あなたの文体やトーン、進行中のプロジェクトの状況、チームの誰が何を担当しているかまで踏まえて動けるようになります。「あなたのことを、あなたの仕事のことを、AI がちゃんと知っている」状態になった ― これが、AI が「答える」存在から「自律的に実行する」存在へと進化できた理由のひとつです。

新機能ハイライト 3 つ

発表された機能のうち、日々の業務に直結するものを 3 つに絞ってご紹介します。

① AI Inbox: Gmail の「本当に大事なメール」が一目でわかる

届いたメールの中から、今日あなたが対応すべき重要なものを、Gemini が見つけ出してくれます。また、Gmail の検索もパワーアップして、「検索 → ヒットしたメールをひとつずつ開いて確認」ではなく、「検索 → Gemini が要約して答えをくれる」という形に変わります。

Tackle your inbox faster than ever. ⚡️ AI Inbox gives you suggested to-dos and topic summaries so you can catch up and take action quickly.

Now rolling out to Workspace Enterprise Plus customers on Gemini Alpha. https://t.co/JId7NFeIaS#GoogleCloudNext pic.twitter.com/nNdSXrfIq2

— Google Workspace (@GoogleWorkspace) April 22, 2026

② Google スライド・ドキュメントの一括ドラフト生成

Google スライドで、AI が編集可能なプレゼン資料を一式まとめて生成してくれるようになりました。会社のテンプレートも、ビジュアルのトーンも守った状態で仕上がります。Google ドキュメントにも同様の強化が入り、コメントを踏まえてドキュメント全体を編集してくれる機能や、内容に合わせた画像を生成して差し込む機能が追加されています。

③ Agent Designer: コードが書けなくても、自分専用の AI が作れる

ここが、今回の発表で最も大きな変化です。プログラミングが一切わからなくても、日本語で指示を書くだけで、自分専用の AI エージェントを作れる ようになりました。

Use the enhanced Agent Designer in Gemini Enterprise to create an agent using natural language or a visual interface.

You can inspect, test, and approve every step of a workflow before it ever runs, ensuring enterprise transparency and trust. Read more → https://t.co/wiIm7OFlud pic.twitter.com/6K4Zk48Qew

— Google Cloud (@googlecloud) April 25, 2026

作ったエージェントは Inbox in Gemini Enterprise から、稼働状況をいつでも確認・調整できます。

これまで「DX、何から始めればいいんだろう」と思っていた方にとって、最初の一歩のハードルが、ぐっと下がりました


すぐに試せるプロンプト 4 選

具体的に、明日からどう使えるか。4 つのプロンプトをご紹介します。

朝の 15 分を 1 日の設計時間に変える

出社して Slack や Gmail を見ると、それだけで 30 分経っていた ― よくある話です。Gemini にこう聞いてみてください。

今日の私の優先タスクを教えて。未読の Slack スレッドや Gmail の中から、返信が遅れているもの、意思決定を待っているものを優先順位つきで挙げて。各項目に対して、私が今日取るべき最小アクションも提案して。

出てきた一覧を上から順に片付けていくだけで、午前中が終わる頃には「今日やるべきことは終わった」状態になります。

会議資料のたたき台を寝ている間に終わらせる

来週の定例で使う営業サマリーを、金曜の退勤前に仕込んでおきましょう。

来週火曜日の営業定例向けに、Q1 の実績サマリーのスライドを 10 枚で作って。添付の月次レポートと、Gmail 内の部長との直近のスレッドを参照して。
社内標準テンプレートに準拠し、最後に Q2 の重点施策案を 3 つ提案スライドとして追加して。

月曜に出社した時点で、編集可能なドラフトができあがっています。あなたがやるのは「磨き上げ」だけになります。

データ集計を自然な日本語で依頼する

スプレッドシートの関数に詳しくなくても、日本語で頼めばシート全体を組み立ててくれます。

月次の顧客チャーン分析シートを作って。
データソース:Gmail 内の「カスタマー サクセス月次レポート」と、添付の解約理由 CSV
作業:
・解約率の推移を月次で可視化
・解約理由を 5 カテゴリに分類して集計
・前月比で増加した理由 TOP3 をハイライト
・最後に改善アクション候補を 3 つ提案

「VLOOKUP が…」「ピボット テーブルが…」と検索する時間が、丸ごと不要になります。

コードなしで、自分専用の AI 担当者を作る

Agent Designer を使えば、さらにもう一歩進んだ使い方ができます。日本語で指示を書くだけで、上記のような作業を、毎日決まった時間に自動でやってくれる「仕組み」を、自分専用に作れます。話しかけなくても、勝手に動いてくれる ― そんな AI 担当者を、コードを書かずに 1 人雇うイメージです。
たとえば、「朝の優先タスク整理」を、こんな仕組みにしてみましょう。

毎朝 7 時 30 分に自動で動いて、以下をやってほしい。
・Gmail の重要メール、カレンダーの今日の予定を集めて、優先タスクを 5 件にまとめる
・そのうち、メール返信が必要なものについては、私の文体に合わせた返信案を Gmail の下書きに入れておく
・会議があるものについては、関連資料へのリンクをまとめてサマリーを作る
・全部できたら、私の Gmail に「今日のブリーフィング」として送って

この仕組みを一度作ってしまえば、出社した瞬間に Gmail に「今日のブリーフィング」が届いていて、返信が必要なメールの下書きはすでに用意されている ― という状態が、毎朝、自動で繰り返されます。

会議資料のたたき台、定期的なデータ集計も、同じように仕組み化できます。


これからの仕事は「指示する」より「進めてもらう」になる

これまでは、ツールを使いこなすために、操作方法を覚える必要がありました。

これからは、「こういうことがしたい」と伝えるだけで、Gemini があなたの文体・過去の仕事・今のプロジェクトの文脈を踏まえて、何日もかけて進めてくれる ― そんな時代に入っていきます。AI が独走するのではなく、人が方向性を示し、AI がその間の段取りを進めて、要所で人が確認する。そんな並走の関係が、エージェンティック時代の働き方の核になります。

なお、「自律的に実行する」「進めてもらう」と言っても、データの所有権はあくまであなたの会社にあり、社内で誰がどの AI に何をさせたかも追跡できるようになっており、セキュリティ面でも安心な環境で利用することが可能です。

AI 活用において大事なのは、完璧に理解してから使い始めることではなく、小さく試してみることです。まずは Google Chat で「今日のタスクを教えて」と話しかけてみる。Google スライドで「この内容でドラフト作って」とお願いしてみる。その体験から、頼み方の感覚が育っていきます。

▶︎ 無料の Gemini アプリ(個人でまず試してみたい方)
▶︎ Gemini Enterprise(企業で導入を検討する方)


ダウンロード
copy
267