Getty 提携で著作権リスクが後退
AI 画像生成の学習データ正当性は 2023 年の Getty 訴訟以来、ずっと未解決のままでした。
01 — 発端:2023年 Getty vs Stability AI
2023 年 1 月、Getty Images は Stability AI を相手取り、1,200 万点超の画像を無断で学習データとして使用したとして英国・米国両裁判所に提訴しました。訴状には、ウォーターマークが残ったまま生成された画像のスクリーンショットが証拠として添付され、AI 画像生成サービス全体への波紋を広げました。
この訴訟は単なる二社間の争いを超え、生成 AI 全体の学習データ合法性という問いを業界に突きつけました。OpenAI・Midjourney・Adobe Firefly など、すべての主要サービスが類似リスクを抱えていると報じられ、投資家・企業ユーザー双方が法的不確実性を懸念し始めました。
「ウォーターマーク付き画像の生成は、学習データの由来を示す動かぬ証拠だ」
Getty Images 訴状(2023)より要約02 — 正式ライセンス契約の中身
Getty Images と正式ライセンス契約を締結。GPT Image 2.0 / Sora 2 の学習データ・画像生成まわりの著作権リスクを段階的に解消
Getty が保有する写真・映像コンテンツを GPT Image 2.0 および Sora 2 のモデル学習に正規利用。クリエイターへの収益分配スキームを含む。
契約対象データから生成された画像・動画については、商業利用時の著作権クレームリスクが大幅に低下。インデムニティ条項を相互承認。
Getty 登録クリエイターの作品が学習に使われるたびにロイヤルティが発生する仕組みを導入。AI 収益の一部をコンテンツ提供者に還元。
年次で学習データ利用状況の監査が可能。Getty 側は独立監査人を指名できる。半年ごとに利用レポートを公開する義務を OpenAI が負う。
GPT Image 2.0、Sora 2(2026年6月時点)
API 経由の商業利用・プロダクト組み込みを含む
ChatGPT 無料プランの一部機能、研究・教育目的の利用は別途条件
03 — まだ残るリスク:NYT 訴訟と継続中の係争
Getty 契約は重要な一歩ですが、業界全体の著作権問題を解決するものではありません。
解消されたリスク
- Getty 保有画像の学習データ利用
- GPT Image 2.0 / Sora 2 生成物の商標希薄化クレーム
- ウォーターマーク付き生成物問題(Getty 分)
- 学習データ不透明性への批判(Getty 分)
依然として未解決
- NYT vs OpenAI — テキスト著作権、係争継続中
- Authors Guild など書籍著作権訴訟
- Midjourney・Stability AI の別件著作権訴訟
- EU AI Act 下の透明性義務(2026年施行)
- 非 Getty メディア企業のライセンス未締結問題
04 — 開発チームへの実践ガイド
画像生成 API を使うチームの法的リスクが少し下がります。NYT など他の訴訟はまだ続くので完全決着ではないですが、今できる対策を整理します。
OpenAI の GPT Image 2.0 / Sora 2 を使っているなら、今回の Getty 契約の恩恵を受けます。Midjourney・Stability AI 系は別途確認が必要です。プロバイダーの利用規約「インデムニティ条項」の範囲を必ず確認してください。
どのモデル・バージョンで生成したか、いつ生成したかをログに残す習慣をつけましょう。将来の訴訟・監査対応で重要な証拠になります。
NYT 訴訟が示すように、テキスト著作権リスクはまだ未解決です。報道記事・書籍からの直接引用を生成させるユースケースは特に注意が必要です。RAG 構成でソースを管理することを検討してください。
著作権訴訟の判決・和解は今後も続きます。半年に一度、利用中の生成 AI サービスのライセンス状況・判例動向を法務チームとレビューするサイクルを確立しましょう。