約6万4000m2が焼損し、196棟が被災した大分市佐賀関の大規模火災。幅の狭い道路に古い木造家屋が並ぶ密集市街地の火災リスクを改めて見せつけた。専門家は、急速な延焼の“主犯”を飛び火と見ている。
大分市の東端に位置する佐賀関を襲った大規模火災。被災したのは田中地区を中心とする佐賀関漁港至近の集落だった。炎は古い木造住宅密集地を飲み込み、周辺の山林の一部にも燃え移った〔写真1、2〕。
飛び火の影響で、1.5kmほどの沖合に位置する無人島「蔦島(つたじま)」にまで延焼。焼損面積は住宅のある半島部で約2万3300m2に上り、無人島を含めると計約6万3900m2に及んだ(2026年3月4日時点)。
火災の覚知は25年11月18日午後5時45分ごろ。総務省消防庁が26年3月9日に発表した火災原因調査報告書によると、火元は今回の火災で唯一亡くなった男性の住まいで、2階建ての木造住宅だった。全体的に焼損が激しく物証を確認できないことから、出火原因は不明と結論づけた。
25年11月19日には大分県や熊本県の防災ヘリの他、大分県の要請を受けた自衛隊のヘリコプターも消火活動を始めたが、住宅地が鎮火したのは覚知から10日後の11月28日だった。
「建物間の距離がかなり近い」
国土交通省住宅局の調査によると、田中地区周辺で被災した182棟(25年12月9日時点)のうち数棟を除くほとんどが住宅で、そのうち115棟が木造や土蔵造りだった〔写真3〕。
築年数は総じて古く、1981年以前に旧耐震基準で建てられた建物が大半を占めた。こうした古い建物が、幅員2.0mに満たない街路沿いにひしめき合っていた。
佐賀関の田中地区周辺は準都市計画区域内にあるため、防火地域・準防火地域に指定できない。加えて、大分市全域が建築基準法22条区域に指定されていない。
2025年11月20~22日の3日間、現地調査を実施した国交省国土技術政策総合研究所の岩見達也都市防災研究室長は、次のように語る。
「被災地は建物間の距離がかなり近い。建基法22条区域では屋根を不燃仕様にしたり、外壁を準防火構造にしたりするが、仮にそうしても延焼を抑制できたかは疑わしい」
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