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noteのAIレコメンド、一度ハマると抜け出せない

note / 3/12/2026

💬 OpinionIdeas & Deep Analysis

Key Points

  • noteのAIレコメンド機能が強力で、ユーザーが大量のコンテンツを連続して閲覧してしまう“ハマり”現象を指摘している。
  • 著者はこのアルゴリズム設計の倫理・責任と、リテンション最適化と利用者の健全性のバランスについて論じている。
  • ノートのエコシステムやクリエイター露出、ユーザー離脱リスク、プラットフォームの収益性への影響を分析している。
  • 実務的には透明性の確保や休止機能・リミット機能、ダークパターン回避などの対策を提案している。
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noteのAIレコメンド、一度ハマると抜け出せない

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noteのAIおすすめ機能が新しくなった。

カテゴリが53に拡充され、トピック単位のタグ付けが導入されています。公式の言葉を借りれば「読めば読むほど、そのひとに合った作品と出会いやすくなります」。

方向性としては良いと思います。ただ、使ってみて困ったことが起きました。


引用先を確認しただけ

以前、note大学のBAN騒動について記事を書きました。

ありがたいことにそれなりに読まれて、他の方の記事で引用されることも増えた。自分の文章がどういう文脈で使われているかは気になります。書き手なら当然だと思います。引用先を一つずつ開いて確認していきました。

引用先はほぼnote大学の元メンバーやその周辺の方が書いた記事でした。

僕はnote大学に興味があるわけではありません。自分の記事の扱われ方を見にいっただけです。

でもAIはそう受け取らなかった。

僕がいつもチェックしている「今日のあなたに」がnote大学関連の記事で埋まりました。気になって一つ開くとAIはさらに確信を深める。おすすめがますます偏る。もういいよ、と思ってもその「もういい」を伝える方法がない。

結局、おすすめ自体を見なくなりました。

閲覧は全部「興味がある」になる

これはnoteだけの話ではありません。レコメンドエンジンの構造的な問題です。

AIが拾えるのは「この人がこの記事を開いた」という事実だけ。興味があって読んだのか、批判的に読んだのか、引用確認で開いただけなのか。動機の違いは見えません。すべて「興味あり」という一方向のシグナルに変換されます。

一度あるジャンルの記事を複数開くと、AIはそこに関心が高いと判断して似た記事を並べる。読めば読むほど同じジャンルに閉じ込められていく。いわゆるフィルターバブルです。

戻す手段がない

偏ったおすすめをリセットできるなら、まだ救いはあります。

noteのヘルプセンターにはこう書かれています。

事務局にご相談いただきましても、非表示にしたジャンルの学習をリセットすることはできません。

閲覧履歴に基づく学習データを白紙に戻す手段は存在しません。一度踏み込んだら、引き返せない。

ホーム画面には記事単位の「非表示にする」ボタンがあります。でも「今日のあなたに」に表示される記事を一つずつ非表示にしていく作業は、note大学関連の記事を書いている人の数を考えると現実的ではありません。しかも非表示にするためにその記事をタップすると、それ自体が「興味あり」の閲覧シグナルになりかねない。

調べてみると、同じ不満を持っているユーザーは他にもいました。おすすめを自分で調整する手段として、あまりに非力です。

YouTubeやXはどうしているか

先行するプラットフォームはこの問題に対して、ユーザーが「これは違う」と明示的に伝えられる仕組みを用意してきました。

YouTubeには「おすすめに表示しない」がある。動画単位でもチャンネル単位でもフィードから外せます。Xには「この投稿に興味がない」に加えて「このトピックに興味がない」がある。Spotifyも「この曲をおすすめしない」で自動プレイリストから除外できます。

どれも、ポジティブなシグナルだけでなくネガティブなシグナルを受け取る仕組みを持っています。 両方あって初めてレコメンドの精度は上がる。

書き手にとっても損

この問題は読み手だけの話ではありません。

おすすめが偏ると、読み手は特定ジャンルの記事しか見なくなる。読み手のフィードがnote大学関連で埋まっている間、本来その人の目に触れるはずだった別のクリエイターの記事は押し出されています。

noteがAIレコメンドを刷新した目的は「SNSでバズらなくても、フォロワーが少なくても、いい記事を書けば読みたい人に届く」ことだったはずです。でもフィルターバブルが起きると、届くべき記事が届くべき人に届かなくなる。レコメンドの精度が落ちることで、書き手の記事が埋もれる。

読み手がおすすめを見なくなれば、書き手の記事が届く経路が一つ減る。 僕自身がまさにそうなっています。おすすめを見なくなった読み手の一人は、同時に書き手でもある。

トピック単位の拒否がほしい

noteに今あるのはクリエイター単位のミュートと、記事単位の非表示だけです。

今回のリニューアルで、noteはトピック単位でおすすめできるようになった。「和食」や「ドイツ旅行」のように細かく興味を反映できると公式も言っています。

であれば、トピック単位で「興味なし」と伝える機能もセットで要るのでは。

おすすめの学習をリセットする手段も。偏ったら戻せないのでは、ユーザーは怖くておすすめ欄に触れなくなります。僕みたいに。

noteのAIレコメンド刷新は良い方向だと思っています。ただ、アクセルを付けたならブレーキも要る。他のプラットフォームが既に通ってきた道です。

今の僕のおすすめ欄は、僕にまったくぴったりではない記事で埋まっています。


読んでいただきありがとうございました。
コメント、記事購入、チップ等いつもありがとうございます。
大変感謝しております。
関連記事もありますので、下記サイトマップを参照していただければ幸いです。

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