何かと話題の「Gemma 4」を薬局で使うなら…

note / 4/8/2026

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Key Points

  • 「Gemma 4」を薬局(薬剤師の実務)でどう使うかをテーマに、利用シーンを想定した考え方を提示している。
  • AI活用にあたっては、医療現場ならではの情報の扱い方(正確性・安全性・運用ルール)を意識する必要がある点に触れている。
  • 効率化や業務支援の可能性がある一方で、過度な自動化ではなく人の確認を前提にする姿勢が示唆される。
  • 薬剤師という職種の視点から、生成AIを導入・運用する際の現実的な論点(使いどころ、注意点)を整理する内容になっている。
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何かと話題の「Gemma 4」を薬局で使うなら…

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Gemma 4はGoogleのオープンモデル群で、開発者や企業が自由に試したり組み込んだりしやすいタイプの(生成)AIです。
その中でも特に小型のモデルは、スマートフォンなどのモバイル端末内や、施設内に設置されている端末内で動かすことを意識して作られています。

処理を端末内で完結させることが可能

同じGoogleが開発したGeminiの場合、基本的にGoogleのクラウド上で動くGemini関連のサービスを、ユーザーがWebブラウザやアプリから利用する形式になっています。

一方Gemma 4は、自分の端末や自前で構築した環境で動かすことが前提で、設計次第ではデータをクラウドに送信することなく処理できます [1] 。
ゆえに、要配慮個人情報や薬局内の機密情報を外部に送信せずに取り扱える設計を構築しやすく、通常の生成AIサービスを活用する場合と比較して、情報漏洩のリスクを低減しやすいと考えられます。

【補足】
実際の安全性は、端末の管理、ログの保存、通信設定、外部連携の有無などにも左右されます。

モデルのラインナップは

発表されているモデルはE2B、E4B、26B MoE、31B Denseの4系統です。先述の通り、小型のE2BとE4Bは、スマートフォンのようなモバイル端末でもオフラインで動作することが重視されています [1] 。

Googleは、31BモデルはArena AI(複数のモデルを名前がわからない状態で比較し、ユーザーの投票によって順位を決めるプラットフォーム)のオープンモデルのランクで世界3位、26Bモデルは6位であったことを発表しており、Gemma 4は自分より20倍大きいモデルにも対抗できるとしています [1] 。

Google AI Edge Galleryで試すことも可能

Gemma 4はGeminiほど簡単に使い始められるわけではなく、少々ハードルが高いのですが、2026年4月6日現在、Google PlayやApp Storeで配信されているアプリ「Google AI Edge Gallery」で、Gemma-4の各モデルの雰囲気を試すことができます。

iOSの場合のトップ画面
モデル選択画面
チャット画面
あらかじめ用意されている8種類のエージェントスキルを使って、簡単なアプリを作成することも可能です

試しに私のiPhone 17で動かしてみましたが、E2Bであればチャット・エージェント機能の両方が問題なく動作しました。

Google AI Edge Gallery経由でGemma 4を使う場合、モデル推論はデバイス上で実行され、インターネット接続なしでも動作するとされていますが [2] 、モデルのダウンロード、アプリ更新、解析情報の送信など、推論以外の通信まで完全に存在しないとは言い切れません。
よって、2026年4月6日現在においては、入力したテキストや画像がクラウドに送信される可能性は低いですが、それでも要配慮個人情報や薬局内の機密情報の入力は可能な限り避けたほうがよいでしょう。

カスタマイズの自由度も高いですが

Gemma 4はApache 2.0で提供されており、商用利用しやすいオープンモデルという位置づけです。ゆえに、各薬局ごとに「薬局内文書だけを読ませる」「JSON形式で返す」「薬局内の端末のUIに組み込む」といった作り込みがしやすいと考えられます(その難易度は別として) [3] 。

ただし、Gemma 4は組み込めば終わりというタイプの生成AIではありません。一般的にGeminiのようなサービスでは、モデルの更新や一定の安全対策を提供企業側で進めてくれますが、Gemma 4を薬局内の端末や自前の環境で運用する場合、モデルの更新、性能評価、安全性の確認、保守を自分たちの責任で継続して行う必要があります。

このため、Gemma 4のようなローカル環境で運用できる生成AIは、情報を外部に送らずに扱いやすい反面、安全性の担保や運用管理まで含めて自分たちで設計しなければならない、というトレードオフがあります。

薬局内で使うならどのような用途がいい?

基本的には一般的な生成AIと同様の用途で活用できると考えられますが、薬局外に送信すべきでない個人情報や機密情報を含めて指示をしたい場合は、薬局内の端末だけで完結させられるGemma 4の方が適切でしょう。

例えば、服薬指導にあたって患者さん向けに専門用語を言い換える場面を考えてみます。
もちろん、一般的な生成AIでも言い換え案を作成してくれますが、相手の年齢や性別、アレルギー歴、副作用歴、既往歴、併用薬、家族構成…などを含めた、より個別化された文章にしたいなら、クラウドへの送信を避けられるGemma 4のほうが適切でしょう。

また、マニュアルの管理も既にNotebookLM等で可能ですが、固有名詞(施設名、医療機関名、ケアマネージャー名など)を大量に含むマニュアルを管理するのであれば、先程と同様Gemma 4の方が良いと考えられます。

さらに、在宅医療でもGemma 4は活躍できるかもしれません。
訪問予定の管理、訪問計画、訪問後の報告書の作成、情報提供書の作成などにあたっては、薬歴の内容や過去の情報が必要になるケースがほとんどなので、クラウドに情報を送信しないGemma 4を活用することにより、スムーズに業務を遂行できるようになるかもしれません。

そして、出力はもちろん人間が確認しましょう

このように様々な活用シーンが考えられるGemma 4ですが、出力された内容が正確(適切)であるとは限らないので、一般的な生成AIと同様、最後は人間側で内容を確認しなければなりません。

特に、調べ物をするときは注意が必要です。Gemma 4のナレッジカットオフは2025年1月のため、それ以後の知識はないものとして扱わなければなりません [4] 。
当然、ネット検索もしてくれないので、情報収集は一般的な生成AIやネットサーフィンでする方が無難でしょう。

今回のまとめ

調剤薬局内の端末にGemma 4を組み込むことで、端末内(オフライン)で処理が完結する生成AIを運用することが可能になります。
このような生成AIは情報を外部に送らないことが前提のため、個人情報や機密情報を含んだ指示でも扱いやすい反面、モデルの更新、性能評価、安全性の確認、保守を自分たちの責任で継続して行う必要があります。

生成AIに質問すれば、おそらくGemma 4の導入自体は(適切なスペックの端末があれば)自分たちで進められると思いますが、セットアップして終わりではなく、自分たちの力で管理し続けなければならないことを理解した上でGemma 4を導入するようにしましょう。


参考資料

[1] Google The Keyword「Gemma 4: Byte for byte, the most capable open models」
https://blog.google/innovation-and-ai/technology/developers-tools/gemma-4/

[2] GitHub「google-ai-edge」README
https://github.com/google-ai-edge/gallery

[3] Google for Developers「Bring state-of-the-art agentic skills to the edge with Gemma 4」
https://developers.googleblog.com/bring-state-of-the-art-agentic-skills-to-the-edge-with-gemma-4/

[4] Google AI for Developers「Gemma 4 モデルカード」
https://ai.google.dev/gemma/docs/core/model_card_4


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Webサイト「薬剤師のためのAIノート」も、是非ご覧ください。

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