日産長期ビジョン、新型「スカイライン」「エクステラ」は救世主になるか

日経XTECH / 5/12/2026

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Key Points

  • 日産は「Re:Nissan」の2026年度終了を受け、2026年4月発表の長期ビジョンでその先の投資方針を示し、開発中約30車種の公開で将来への取り組みをアピールした。
  • 次世代車の中核キーワードとして「AIDV(AIディファインドビークル)」を掲げ、購入後にソフト更新で価値を拡張するSDVの流れをAI活用でさらに推し進める方針を説明した。
  • 「AIドライブ」では、自動運転を認識・判断・操作までAIが一気通貫で処理するエンド・ツー・エンド(E2E)へ進化させ、詳細地図依存を下げるだけでなくテールケース対応力を高める狙いが示された。
  • (記事の流れとして)もう一つの柱「AIパートナー」も含め、AIにより移動体験の価値最大化を目指すロードマップが提示されている。

 日産自動車が2026年4月に発表した「長期ビジョン」は、これまで取り組んできた経営再建計画「Re:Nissan」が2026年度で終了するのを受け、「その先」の方向を指し示すものである。日産は2025年3月に内外の報道関係者を集め、約30車種もの開発中のモデルを公開した。今回の長期ビジョン説明会でも、そのときに匹敵する30車種の開発中のモデルについて外観を公開し、日産が将来に向けて着実に投資していることをアピールした。

長期ビジョンを発表する日産のIvan Espinosa(イバン・エスピノーサ)社長(中央)、CPO(チーフ・パフォーマンス・オフィサー)のGuillaume Cartier(ギョーム・カルティエ)氏(左)、最高技術責任者(CTO)の赤石永一氏(右)。(出所:筆者)
長期ビジョンを発表する日産のIvan Espinosa(イバン・エスピノーサ)社長(中央)、CPO(チーフ・パフォーマンス・オフィサー)のGuillaume Cartier(ギョーム・カルティエ)氏(左)、最高技術責任者(CTO)の赤石永一氏(右)。(出所:筆者)
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次世代車のキーワードは「AIDV」

 長期ビジョンで日産が前面に打ち出したのが「AIDV(AIディファインドビークル)」というキーワードだ。現在、自動車業界では車両の購入後もソフトウエアアップデートにより機能が更新されるソフト定義車両(SDV)の開発が活発化している。日産のAIDVは、それを一歩進め、人工知能(AI)をテコに移動の価値を最大化することを目指す。具体的には、「AIドライブ」と「AIパートナー」という2つの技術開発を推進する。

 第1の柱であるAIドライブは、自動運転技術を従来の「ルールベース」から、運転の「認識」「判断」「操作」という3つのプロセスをすべてAIが一気通貫で処理する「エンド・ツー・エンド(End-to-End、E2E)」技術へと進化させるものだ。前回のこのコラム「⽇産・ウェイブ・ウーバー、⾃動運転と⼈間の運転を組み合わせる」でも触れたように、E2E自動運転は詳細なデジタル地図を必要とせず、また人間が事前にルール化しておくのが難しいめったに遭遇しないケース(テールケース)にも柔軟に対応できるのが特徴だ。

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日産はE2E自動運転技術を応用することで、一般道...

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