富士通は4月23日、AIとロボットを組み合わせて現実世界の課題解決に生かす「フィジカルAI」の研究戦略を発表した。2030年に「人とロボットが協働する社会」の実現を目指す。フィジカルAIの基盤システムを構築し、業界での標準化も視野に開発を進める。
開発を担うのは、4月に設立した「富士通研究所 フィジカルAI研究所」だ。約130人の研究員が所属しており、鈴木源太所長は「『ドラえもん』を作りたいと言う研究員が多いですね。(富士通が2030年に見据えるのと同じ)ロボットと人が良い関係を築いている世界観です」と説明する。
AIやロボットの研究では、米国や中国が先行しているという見方もある。同社は、“ドラえもんのような世界”という壮大な構想をどのように実現するのか。
“ドラえもんのような世界”目指す――富士通“フィジカルAI”戦略の正体
富士通は、フィジカルAIの基幹となるソフトウェア「Fujitsu Kozuchi Physical OS」の構築を掲げる。生成AI、ロボット、物理シミュレーション、センサー情報やカメラ映像のようなデータ類など、フィジカルAIの動作に欠かせない要素を統合。空間情報を取り込み、AIやロボットと連携させることで、現実世界で作業をこなせるようにする。
「米国や中国は、ロボットやAIそのものの開発で先行しています。空間全体にフォーカスしている点が当社の独自性です。ロボットを制御する『行動知能』と、現実世界を理解するための『空間知能』を掛け合わせて、人とロボットが同じ空間で働くことで得られるフィードバックを基に、行動知能と空間知能をより賢くしていきます」(鈴木氏)
既にFujitsu Kozuchi Physical OSの開発に着手しており、第一段階として2026年中にOSの公開を予定している。研究と外部公開を並行させることで改善点を見つけ、開発を加速させる狙いがある。
産官学の連携も模索しており、国内外の企業やスタートアップと協業する計画だ。4月23日には、AI研究で先駆的な位置にある米カーネギーメロン大学と共同研究センター「Fujitsu-Carnegie Mellon Physical AI Research Center」を設立すると発表した。
フィジカルAIを巡っては、日立製作所やソフトバンクなどさまざまな企業が開発に取り組んでいる。社会実装を目指して、多様なプレイヤーの動きが活発化しそうだ。
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