AI(人工知能)の登場によって、私たちはかつてないほど容易に「学べる」ようになった。その結果、仕事の補助としてだけではなく、学び直しなどの学習ツールとしてAIの活用を考えている人も多いはずだ。
ただし、思いつきの学習は途中で挫折しやすい。せっかく始めるのなら、「継続」を前提にAIを学習に生かしたい。そこで提案したいのが、経営学者ピーター・ドラッカーの「3カ月と3カ年勉強法」の活用だ。
3カ月と3カ年勉強法とは何か
3カ月と3カ年勉強法とはドラッカーが実践したシンプルな学習方法だ(呼称は筆者が便宜上付けた)。3カ月の短期と3年の中期で回すテーマを掲げて継続的に学習する。その具体的方法についてかつてドラッカーは、日本経済新聞「私の履歴書」の中で触れている(初出は2005年2月)。
まず、毎年テーマを変えて3カ月間集中的に学ぶ。同時に3カ年の中期テーマを掲げ、並行して学習する。たったこれだけだ。ドラッカーはこの学習法を鬼籍に入る2005年まで70年間続けていた。還暦以降の著作の多さから見ても、この学習法がドラッカーを支えていたと考えてもよさそうだ。
そこで、このドラッカーの流儀を借用し、「続ける」を前提に自分好みのテーマでAIと共に学習する。そうすれば、効率的かつ継続的な「自分アップデート」も夢ではないはずだ。
「英語読解力の向上」を3カ月のテーマに
方針が決まったので何を学習テーマにするのか次に決めよう。ここでは、多くの人にとって共通の課題であるだろう英語読解力の向上を、まずは3カ月のテーマに取り上げたい。
テーマを決めたらさらにもう1つ、AIを使い始める前に準備しておきたいことがある。これもドラッカーが提唱した「目標と自己管理によるマネジメント」、いわゆる「目標管理」の適用だ。
目標管理では、新しい取り組みを始める際に、「何について、いつまでに、どのような成果を達成するのか」を目標としてあらかじめ明確にする。そして実行後、初期の目標と結果を比較し、良かった点と悪かった点を洗い出し、改善点を明らかにして、次にフィードバックする。
この考え方を「3カ月と3カ年勉強法」に当てはめると、学習テーマを決めたら、3カ月後の具体的な成果を定義しておく必要がある。そこで「英語読解力の向上」を設定した今回は、用意した英文テキストを完読した上で、難読だった箇所をAIと共に分析し、「自分がどこで、なぜつまずくのか」の可視化を具体的成果にしたい。
AIは単なる翻訳ツールではなく、自分の読解の癖を映し出す鏡として活用できる。そして可視化した分析結果を次の読解にフィードバックすれば、読解力の向上が大いに期待できるだろう。
英語読解力の向上にAIを徹底活用
では、AIを活用した英語読解に取りかかろう。用意する英文テキストは、Web記事でもPDFでも電子書籍でも構わない。また、自分で書いた文章をAIに英訳させて使用するのも有効だ。元の意味が分かっている分、英文の理解が進むだろう。当然だが、個人情報は、AIに学習させないよう注意が必要だ。
ただしいずれの場合でも、テキストにマーカーを付けられるようにしておく。これはつまずいた箇所を特定するためだ。
準備が整ったら、まずは英文を読み進める。この段階では、完全に理解しようとしなくてよい。ある程度まとまった量を読み、その中でつまずいた箇所にマーカーを引く。
そして区切りのよいところで、マーカーを付けた文章をまとめてAIに渡す。ここでの目的は、難読箇所をAIに翻訳してもらうことではない。なぜそこでつまずくのか、その理由を分析してもらうことにある。
例えば、次のようにAIに問いかけるとよい。






