この記事の3つのポイント
- 成長事業に投資を配分するために「注力13事業」策定
- 機械の五感と身体に当たるのがデバイス
- 開発生産性(営業利益 ÷ 研究開発費)2.5倍は実現可能な目標
「人間もブラックボックスじゃないですか」――。オムロンの技術戦略を統括する諏訪正樹氏は、製造現場で敬遠されがちなAI(人工知能)の不透明さを、人間の本質になぞらえて肯定した。
同社は2025年11月に発表した「中期ロードマップSF 2nd Stage」で、「強いデバイスへの回帰」を打ち出した。データの源泉となるセンサーやコントローラーにまずは資源を集中させる選択だ。産業用ロボットそのものは注力事業に含めなかった。
構造改革を経て再成長へ舵(かじ)を切るオムロン。AIとハードウエアを融合しつつ現場データの価値をどう最大化するのか。諏訪氏に技術トップとしての視点を聞いた。
「フィジカルAI」の開発が各国で加速しています。
(工場に)2030年までには確実に入ってくると思う。例えば検査装置が賢くなり、単に不良を見つけるだけでなく、「印刷機の目詰まりが原因ではないですか」と提案し、自動で直してくれるような自律工場の世界になっていくだろう。
そもそもフィジカルAIについてどのように捉えていますか。
世の中で言うフィジカルAIは、生成AIで身体を動かすという狭義の意味が多いが、我々はもっと広い世界、つまり五感で現場の情報を得て価値あるデータを選別し、身体(装置)を制御するところまでを含めて考えている。
今の生成AIや人型ロボットは、大量データによる学習で「見よう見まね」で動かすアプローチだが、それだけでは汎用的な作業や精密な制御は無理だ。やはりロボットに持たせる「五感」や「身体」そのもののアップデートが必要となる。
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