AIが人間の認知能力を超えた世界で必要なこと
こんにちは。マネーフォワードの辻です。
今日は、最近の僕の実感からお話しさせてください。
「ChatGPTの衝撃」というタイトルのnoteを書いたのは、ちょうど3年ほど前のことでした。(あれからもう3年。。時の流れは本当に早いですね。。)
あの時も「これはものすごい変化になる…!」と興奮気味にお伝えしましたが、今の進化のスピードは、もはや「衝撃」という言葉では追いつかないレベルになっています。
最近の僕は、ご多分に漏れず『Claude Code』などの最新のAIツールにどっぷりと浸かっているわけですが、そこで感じている強烈な実感があります。それは、ぶっちゃけて言うと社内の担当者にチャットで色々聞くより、AIに聞いたほうが圧倒的に早い場面が増えているということです。
多分、僕も同じように「辻に聞くよりAIに…」と思われているに違いありません(笑)。それはそれで正しい進化だと思っています。
そして、ご存知、『Claude Code Agent Teams』はもう本当にすごいです。やばいです(笑)。AIとの壁打ちが面白すぎて、MTG時間を減らして、「もっとAIをいじる時間が欲しいな」と思ってしまう瞬間すらありますし、24時間365日休まず、自分のチームが有機的に動いてくれるのは、感動すら覚えます。
X上でも、特に『Claude Code』については色々な情報が日々飛び交っていて、参考になるものが多いですが、まさに日進月歩の進化。
人間の認知能力を完全に超えるスピードと網羅性で答えを返してくるので、むしろ僕たち人間側の処理能力や想像力の方がボトルネックになっている。凄まじい進化の波に、時折元気を吸い取られそうになるほどです。
AIを「最強の右腕」にする
現在、僕はAIにマネーフォワードのビジョンやプロダクト、組織に関する過去の情報をすべて読み込ませて、専用のAIツールをつくっています。(もちろん、正しい情報を入れ込むこと、機密保持を徹底し、入力した情報が外部の学習に利用されないセキュアな環境を構築した上で、慎重に運用していますが)
例えば、「10年間の経営計画をつくって」と指示すると、これまでの文脈を踏まえて、かなりクオリティ高いレポートが短時間で出力されてきます。しかも、作る過程で、AIから適切なタイミングで適切な質問をしてくれて、思考のプロセスを一緒に深めてくれるので非常に頼りになる存在です。
「そこまでAIにやらせているんですか?」と驚かれるかもしれません。
でも、経営のトップである僕自身が、毎日泥臭く手を動かし、プロンプトを叩き続けることには理由があります。それは、「現段階でAIに何ができて、何ができないのか」という境界線や、「そして、これからどれぐらい進化しそうか」といったことを、肌感覚として知っておく必要があるからです。
現在、世界は「地政学のリスク」、「資本市場の変動」、そして「AIの進化」という3つの巨大な波に同時に見舞われています。この変化が激しい環境で、会社の方向性を決める「不可逆な意思決定」を下すためには、誰かからの報告を待っている暇はありません。自分で最前線に立って、AIという最強のツールの現在地を体感していなければ、致命的な判断ミスを犯してしまうという強い危機感があります。
AIで今のプロセスを改善する、のではなく、初めからAIベースであるべきプロセスを構築する
また、当社でもはじめは、AIで今のプロセスを改善する、ということを地道にやってきました。しかしここまでAIの能力が突出してくると、AIベースで、あるべきプロセスを一から構築した方が、アウトプットが5倍、10倍、100倍になることが想定されます。
これは、「言うは易し、行うは難し」で、なかなか大変です。でも、これをやり切った会社とそうでない会社は、雲泥の差がつくのは間違いないと思います。当社でも、ここをやり切るべく、今取り組んでいるところです。
まさに、AIによってプロセスや価値を “Rebuild” する時代がやってきています。
「AI時代のCEOの仕事って何ですか?」
そんなふうに、なんでも網羅的に答えてくれるAIを見ていて、ふと疑問が湧きました。
「あれ?AIがここまで優秀なら、CEOである僕の役割って一体何なんだっけ?」
悩んだ僕は、そのまま『Claude』に聞いてみました(笑)。「AI時代のCEOの仕事は何になるのでしょうか?」。すると、AIからは見事な回答が返ってきました。
市場分析や財務データの読み解きなど、旧来のCEO業務の約60〜70%はAIで代替可能です。これからのCEOは、情報処理者から、意思決定者プラス「物語の設計者(ナラティブ・デザイナー)」へと進化します
AIの指摘によれば、CEOの仕事の大半は「情報処理」であり、それはAIの最も得意な領域だったというのです。そして、「人間にしかできない本質的な仕事」として、次の4つを提示してくれました。
1.不可逆な意思決定
M&Aや事業撤退など、AIが準備した材料をもとに不確実な中で決断する
2.ナラティブの設計
会社の「なぜ」を自分の言葉で語り、ステークホルダーの行動を変える
3.人を動かす力
情報ではなく「信頼と覚悟」をベースに組織をひとつの方向に向ける
4.リスクの引き受け
AIが計算したリスクに対して、「取る価値がある」と判断し最終責任を持つ
……なるほど、そのとおりですねえ。。
さらに面白かったのは、これらに伴う「時間の使い方の変化」の分析です。

AIによれば、CEOが「情報収集・分析」に費やす時間はなんと「95%減」になり、ほぼ完全にAIへ委任すべきとのこと。その代わり、本来やるべき「意思決定」や「人との対話」に時間を大幅に割くべきだと。
この提案を見たとき、「完全にその通りだ…。」と唸ってしまいました。
信頼と覚悟の非対称性
情報を持っていること自体が「権威」だった時代は、完全に終わりました。
情報の非対称性はAIが完全に埋めてくれるからです。AIが予測する通り、これからのリーダーのリーダーシップは「情報の非対称性」ではなく「信頼と覚悟の非対称性」に基づきます。すなわち、信頼の価値がますます高まるということだと思います。
また、AIはリスクのシナリオを「計算」できても、そのリスクを「引き受ける」ことはできません。そして、いくらAIが優秀な戦略を立ててくれても、最初に「こんな世界をつくりたい!」という壮大なビジョンと強烈なパッションを人間が持っていなければ、AIは動き出しません。
誰も解いたことのない壮大なビジョンを掲げ、「このリスクは取る価値がある」と自ら決断し、自分の言葉で語り、リスクをとり、その最終責任を取ること。信頼と共感は、人間からしか生まれないのだと、あらためて認識できました。そして、その判断に対する結果責任をとること。
マネーフォワードは今、「No.1バックオフィスAIカンパニー」へ進化してきています。ソフトウェアによる効率化を超えて、AIが自律的に実務を完結させる「デジタルワーカー市場」という数兆円規模の新しい領域への挑戦です(具体的なAI戦略は、改めて近々機会を作りお話しする予定ですので、ぜひご期待ください!)。
これだけ高度なAI時代になっても、いや、情報処理から解放されたAI時代だからこそ、最後にモノを言うのは人間のビジョンであり、パッションであり、リスクを取る勇気と、責任を取る覚悟。
圧倒的パフォーマンスの最先端テクノロジーを前にいろいろと考えすぎて頭がパンクしそうになることもありますが、結局行き着くところは、明るく、楽しく、元気よく。明石家さんまさんの「生きてるだけで丸儲け」の精神です(笑)。
このダイナミックな変化の時代を、頼れる仲間たちと一緒に思い切りエンジョイしていきたいと思います。
ということで、皆さん、新しいAI時代、みんなで楽しく切り拓いていきましょう!そして、AI時代の最先端を走りたい方のジョインお待ちしています!!

