日清食品HDが商品開発にAIエージェント、「味わい」の理解に工夫

日経XTECH / 2026/4/11

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要点

  • 日清食品ホールディングスは2030年に向けたIT施策の一環としてAIエージェント導入を進め、2025年3月から複数ユースケースへ適用を開始した。
  • AIエージェントの活用領域は営業・マーケ・R&D・SCM・経営管理の5領域で、研究開発では「冷凍食品で○○のような味わいを強く」などの問い合わせから配合情報を抽出する。
  • 官能表現(辛み、粘度、とろみ等)の理解が人によって揺れる課題に対し、材料特徴やどの商品に配合されていたかを示す規格情報を収集してAIの理解を安定化させた。
  • 非構造化で散在していた配合情報をSnowflakeのクラウドDWHへ集約し、AIエージェントが配合情報と規格情報を組み合わせて回答できる基盤を整備した。
  • 今後は試作段階の配合情報や「トライ&エラーの判断理由」を蓄積し、AIの背景理解・判断能力を高める方針だ。

 日清食品ホールディングスは2030年に向けたIT施策の1つとして「データドリブン経営に寄与する基盤の整備」を掲げ、その一環としてAI(人工知能)エージェントの導入を推進している。2025年3月にAIエージェントの導入を始め、2026年3月までに複数のユースケースで適用した。

 現在、日清食品ホールディングスがAIエージェントの導入を進める領域は営業、マーケティング、R&D(研究開発)、SCM(サプライチェーンマネジメント)、経営管理――の5つ。「完全メシ」シリーズなどを担当するフューチャーフード研究開発部の取り組みを例に挙げると、商品の味わいなどを決める官能情報の探索でAIエージェントを利用する。例えば「冷凍食品で○○のような味わいを強くした商品を開発したい」という質問に対して、該当商品の配合を抽出して回答できるようにした。

 完全メシなどの研究開発は「栄養とおいしさのバランスを取るため、今までの商品開発よりも複雑な研究開発を必要とする」(日清食品ホールディングスデータサイエンス室の小郷和希室長)。だが、商品の材料配合に関する情報は非構造化データとして散在していて、必要な情報の横断的な探索に時間がかかっていた。商品の配合情報は、行列形式ではないデータとして管理されていて、横断的に参照できる環境ではなかったのだ。

日清食品ホールディングスデータサイエンス室の小郷和希室長
日清食品ホールディングスデータサイエンス室の小郷和希室長
(写真:日経クロステック)
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 そこでデータを米Snowflake(スノーフレーク)が提供するクラウド型データウエアハウス(DWH)「Snowflake」に集約。AIエージェントが集約されたデータから問い合わせや情報を抽出できるようにした。データとしては配合情報以外に、「辛みがある」や「粘度をつけたい時に使用」といった情報を付与した原料・資材の「規格情報」を蓄積。AIエージェントは配合情報と規格情報を組み合わせることで、質問に答える。

 特に工夫した点は、辛みやとろみなどの官能表現をAIに理解させることである。人間が記した「味わい」に関する情報は人によって表現が揺れ、AIの理解にムラが生まれる。そこで材料の特徴であったり、どんな商品に配合されていたりしたのかなどを示すデータを収集して規格情報として利用した。それらの情報から開発者に有用な助言が可能になった。

 AIエージェントに官能表現と非構造化データの理解を深めてもらうことで、商品の材料配合で社内情報を収集・分析していけるような環境を整備した。今後の開発方針としては、試作段階の配合情報の蓄積を挙げる。「トライ&エラーの過程こそ判断理由の宝庫」(小郷室長)だからだ。開発者の試行錯誤の過程や判断理由を蓄積していくことで、AIエージェントの背景理解や判断能力が高まるようにする。

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「時間とコストをかけて開発しても陳腐化する」

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