欧米勢が主導するSDAの波に、日本のFAメーカーも手をこまねいてはいない。三菱電機とオムロンは、強固なハードの資産を土台にデータ事業へ舵を切る。「守り」の強みを生かしながら、「攻め」のビジネスモデルへ転換を急ぐ。
三菱電機
2900万台の資産 データ事業に転換
三菱電機は機器を販売する従来のモデルから、現場の機器で収集したデータをソリューション提供につなげる事業モデルへの構造転換を急いでいる。
同社の足元の業績は堅調だ。2025年度第3四半期の連結売上高は、同期間として過去最高を記録した。「収益性の改善につながっているのは、中国のAI(人工知能)関連需要だ。高性能な製品が要求されるため、収益性も高い」(藤本健一郎常務執行役CFO=最高財務責任者)。FAシステム事業も、中国における生成AI関連の半導体・データセンター投資やスマートフォン関連の需要増加で業績が拡大している。
「2900万台」の生データ活用
この事業転換において戦略の中心となるのが、データとSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を活用した「継続課金(サブスクリプション)モデル」への移行である。三菱電機は、世界中で稼働する累計2900万台の同社製FA機器(シーケンサー、サーボモーター、CNCなど)というインストールベースを保有している。そこから得られる質の高い現場の生データを生かす仕組みが武器となる。
中心となるのは、同社が2026年から順次提供を始めるSaaS型の「FAデジタルソリューション」だ。これまでシステムの導入企画や運用管理は部門ごとに行われることが多く、データの所在、使用するソフトウエア、活用ノウハウなどが部門ごとにサイロ化して工場全体での情報共有が難しかった。新サービスは様々なシナリオで活用しやすい標準データモデルという共通の構造でクラウド上にデータを蓄積する。
第1弾となる工程管理ソリューションは、現場のPLCに専用のエッジ機器を接続し「良品数、不良品数、不良品コード、設備異常信号、設備異常コード、品種名」という6つの情報を収集して、監視画面に重要なKPI(重要業績評価指標)を表示する。ITの専門家がいない現場でもスモールスタートできるという。
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