中国で電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)など新エネルギー車の成長に急ブレーキがかかる中、自動車各社は新たな一手を打ち始めた。比亜迪(BYD)や華為技術(ファーウェイ)などは自動運転技術を強化する。日本勢では日産自動車が中国を新エネ車の輸出拠点にする方針を打ち出した。中国・北京で2026年4月24日に開幕した世界最大級の自動車展示会「北京国際自動車ショー(北京モーターショー)」から注目を集めた発表や車両を紹介する。
①BYDが最安EVにLiDAR
BYDは低価格のEVにLiDAR(レーザーレーダー)を搭載する。中国国内販売が伸び悩む中、普及しつつある一般道での高度な運転支援に対応し商品力を高める。
BYDは最廉価の小型ハッチバックEV「海鴎(シーガル)」と主力の小型多目的スポーツ車(SUV)「元Plus(ユアンプラス)」のLiDAR搭載モデルを披露した。従来モデルはLiDARを搭載しておらず、高度な運転支援ができるのは高速道路のみだった。価格は明かしていない。現行モデルはシーガルが6万9800~7万8800元(約163万~184万)、元プラスは11万5800~14万5800元(約270万~340万円)で販売している。
LiDAR搭載モデルは、BYDの先進運転支援システム(ADAS)のうち中間グレードの「天神之眼B」を採用する。1個のLiDARのほか、11~12個のカメラや5個のミリ波レーダーなど多くのセンサーを搭載し、運転者の監視はいるが一般道で目的地までステアリングやブレーキなどを制御する高度な運転支援「市街地NOA(Navigate on Autopilot)」に対応する。
BYDは新たな旗艦車種となる大型セダン「海豹(シール)08」と大型SUV「海獅(シーライオン)08」も披露した。ともにEVとPHEVを設定する。2026年3月に刷新した独自のリン酸鉄(LFP)系リチウムイオン電池「刀片電池(ブレードバッテリー)」の第2世代を搭載し、PHEVモデルのEV航続距離は400kmに達するという。
②ファーウェイが自動運転刷新、26年に4100億円超投資
ファーウェイは北京ショー開幕前日の2026年4月23日、同社のADAS「乾崑(チェンクン)ADS」の最新版「ADS 5」を発表した。北京ショーの会場には中国国有大手の東風汽車集団との共同ブランド「奕境」の第1弾モデル「X9」など、ファーウェイのADS 5を搭載した提携ブランドの新エネ車がズラリと並んだ。
ファーウェイはADS 5を「自動運転向けの人工知能(AI)エージェントに進化した」と説明する。AIの学習モデルなどのアーキテクチャーを刷新し、学習の強度や効率をそれぞれ10倍高めたとする。AIによるリアルタイムでの意思決定を可能にし、衝突リスクを50%削減できると主張する。
中国では高速道路など一定の条件下で自動運転を実現する「レベル3」の市販車への導入が進みつつある。国有系大手の広州汽車集団は、ファーウェイとの共同ブランド「啓境」の第1弾モデルでADS 5を搭載する「GT7」が、レベル3による高速道路での試験を実施可能になったと発表した。レベル3市場でファーウェイの存在感が高まりつつある。
ファーウェイによると2026年4月19日時点で、乾崑ADSを採用した車両の累計走行距離は100億kmを超えたという。2026年に自動運転の研究開発にさらに180億元(約4140億円)を投資する方針を明らかにしている。すでに「トップレベル」とされる自動運転技術のさらなる強化に余念がない。
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