「第10回 AI・人工知能EXPO【春】」(2026年4月15~17日、東京ビッグサイト)の「小さく始めるAIパビリオン」に、STマイクロエレクトロニクス、NXPジャパン、ヌヴォトン テクノロジー ジャパン、ルネサス エレクトロニクスが出展し、マイコンを中心に省電力のプロセッサを用いたAI活用に関する展示を披露した。
小さく始めるAIパビリオンは、2023年5月の「第7回 AI・人工知能EXPO【春】」から4年連続の開催となる。当初は英語タイトルが“Small Start MCU AI Pavilion”となっており、処理性能やメモリが限られるマイコン(MCU)でAI(人工知能)を活用することを主眼に置いていた。しかし、前回の3年目からは“Small Start MCU/MPU AI Pavilion”となり省電力のプロセッサも対象に含めるようになっている。今回は、マイコンよりもMPUがより多めの構成になっている印象だった。
「STM32MP2」で三目並べ、人の手の動作をまねるロボットハンドも
STマイクロエレクトロニクスは、近年製品展開を強化しているMPU「STM32MP2」を用いたデモンストレーションを披露した。
STM32MP2は、アプリケーションプロセッサである「Cortex-A35」に加えて、マイコン向けプロセッサの「Coretx-M33」を搭載するヘテロジニアスマルチコアのMPUである。これらの他、AIモデルの処理を得意とするNPU(Neural Processing Unit)やグラフィック処理を担うGPUを搭載する品種もそろえている。
STM32MP2のデモで目を引いたのが三目並べ(TicTacToe)だ。このデモでは、人が赤色のピンポン玉、コンピュータが黄色のピンポン玉を使って三目並べを行うが、3×3のマス上でのピンポン玉のカメラ認識から、打ち手の選定、ロボットハンドによるピンポン玉の制御と配置、対戦状況の液晶ディスプレイへの表示に至るまで全てをSTM32MP2シリーズの評価ボード上で行っている。
もう1つのSTM32MP2を使ったデモが、カメラで認識した人の手の動作をリアルタイムにまねるロボットハンドである。STM32MP2シリーズによりカメラで撮影している人の手の特徴点を抽出することで動作を分析し、マイコン「STM32G4」とモータードライバIC「STSPIN」で高速制御するロボットハンドに同じ動作をさせるという内容だ。
また、マイコンを使用したAI活用の事例では、超低消費電力マイコン「STM32U3」とDracula Technologies製の有機ソーラーバッテリーを組み合わせた、バッテリーレスの人検出AIデモも展示していた。
KinaraのディスクリートNPUでLLMやVLMへの対応が可能に
NXPジャパンは、AIアクセラレータ「Neutron」関連製品の展示を行った。“小さく始める”というコンセプトに沿った展示となったのが、クロスオーバーMCUである「i.MX RT700」を用いた顔認証デモだ。Neutronで顔認証AIモデルを処理するとともに、GPUを使ってカメラ画像の前処理と液晶パネルへの表示の後処理も行える。7.5MBの大容量メモリによりDRAMを外付けする必要がない。また、動作時で12.3W、スリープ時で9μWという低消費電力も特徴であり、このことからi.MX RT700はウェアラブル端末での採用が広がりつつあるという。
NXPは2025年10月、ディスクリートNPU「Ara」を手掛けるKinaraを買収した。第2世代の「Ara-2」は、定格6Wの消費電力で40TOPS相当のAI処理性能を実現できる。今回はこのAra-2を搭載する外付けモジュールを用いたデモを2種類披露した。
1つは、ADLINK製のインテルCPUを搭載する組み込みコンピュータに、Ara-2を組み込むことでLLM(大規模言語モデル)対応が可能になることを示すデモだ。使用しているAIモデルは、LLM-jpのパラメーター数7B(70億)の日本LLMで、音声出力にはVOICEVOXを用いている。
もう1つは、NXPのMPU「i.MX 8M Plus」とAra-2の組み合わせでVLM(視覚言語モデル)による画像解析結果をテキスト表示するデモだ。使用しているVLMはQwen2.5-imageー3Bである。i.MX 8M Plusの評価ボード上にAra-2のボードを搭載しており、手のひらサイズでファンレスのVLMをうたっている。
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