データサイエンティストの業務の一部がAI(人工知能)に「奪われている」。データサイエンティストには分析結果からどんな価値を引き出すかがより強く求められる。AI活用を前提に、データサイエンティストに必要となるスキルの定義を見直し、拡張した。
生成AI(人工知能)が人の仕事を代替しようとする中、ITエンジニアのタスクや必要となるスキルについて再定義が求められている。IT関連資格試験などにも影響があるだけにどのように定義が変わるか注目が集まるところだ。直近で大幅な定義の刷新があったのが「21世紀で最もセクシーな職業」と言われていたデータサイエンティスト(datascientist、DS)に求められるスキルとタスクだ。
刷新の背景にあるのは次の3点。1点目は生成AIよって従来の「分析」領域が大幅に自動化されてコモディティー化したこと。これによってデータサイエンティストの職の一部が「奪われた」。2点目は企業の事業変革における成功要因が「価値創造・組織変革への到達」とされるようになったこと、そして3点目はLLM(大規模言語モデル)/AIエージェントの登場で価値の源泉が「構造設計」「意味(コンテキスト)設計」の側へと移ったことである。これらは新たなスキル、タスクを広げる方向に働く変化だ。
こうした定義刷新の背景の解説とともに、データサイエンティストが価値創造の中心的な役割を担う専門職へと進化するために必要なことについて、データサイエンティスト協会の佐伯諭事務局長兼スキル定義委員会副委員長が解説する(編集部)。
2025年11月末、データサイエンティスト協会は「次代のデータサイエンティストへ」と題してデータサイエンティストのスキルチェックリストとタスクリストを大幅に刷新しました(スキルチェックリストはVer.6、タスクリストはVer.5)。
「データサイエンティストの役割の拡張」が主眼ですが、この更新は「AI駆動の事業変革リーダー像」を表したものでもあります。更新の背景から、事業変革リーダーたるデータサイエンティストの新たなスキルとタスクリストについて全3回で解説します。
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