AI Navigate

ベテランの若手育成負担を減らせ、PLC制御の「ラダー図」をAIで生成

日経XTECH / 3/19/2026

📰 NewsTools & Practical UsageIndustry & Market Moves

Key Points

  • ベテラン設計者の負担を減らし、若手育成をAIで支援するPLCラダープログラム生成の取り組みを紹介。
  • ラダー図は接点とコイルの配置で動作条件を直感的に示し、AI生成で学習期間の短縮と設計作業の効率化が期待される。
  • 従来の技能伝承は時間を要するが、AIが初期ドラフトを提供することでベテランの確認・修正負担を軽減する可能性。
  • 中間言語を介してのラダー図生成など、実装方針の検討も進んでいる。

 「ベテランが実務と若手育成の両方を担っており、負担が増えている」――。こう話すのは、生産設備の受注設計・製作を手掛けるオージーエヌ(愛知県岡崎市)の歌野翔太社長だ。技能伝承の効率化は、設計の現場でも求められている。生産設備の電気設計における技能伝承をAI(人工知能)の活用で支援する同社の取り組みを見てみよう。

 同社がAI活用の対象とした業務は、PLC(プログラミングロジックコントローラ)を制御するラダープログラムの作成だ。機械を動かす電気回路図(リレーシーケンス図)がベースとなっており、2本の縦線とそれらを結ぶ横線をベースに表現する形がはしご(ラダー)に似ている。ラダープログラムはラダー図とも呼ばれる。

ラダー図
ラダー図
(出所:オージーエヌ)
[画像のクリックで拡大表示]

 ラダー図は上から下、左から右へと進んでいくため、プログラムの実行順が分かりやすい。また、ラダー図の左側にスイッチやセンサーなどの「接点」、右側にアクチュエーターやランプなどの「コイル」を配置しており、「このスイッチが入ったらこのモーターが動く」「このセンサーが反応したらこのランプが点灯する」といった条件も直感的に理解できる。

 こうしたメリットがあるため、ラダー図はPLCのプログラミング言語として現在も広く使われている。数式を用いた複雑な計算処理では別の言語(ST言語など)を使う場合があるものの、これまで蓄積したプログラムの活用や既存機器のメンテナンスを考えると、ラダー図を作成する技能を絶やすわけにはいかない。

 視認性が高く、一見すると単純そうに思えるラダー図だが、その習得は一筋縄ではいかない。ラダー図のルールを知識として知っていても、どんな接点やコイルをどういう順番で配置するのかは設計者の腕次第。うまく動作しなかった際の修正にも、実際の設備を理解した上での臨機応変さが必要だ。

 若手設計者がラダー図の技能を習得するプロセスとしては従来、まずベテラン設計者の手伝いをしながら基礎を学んだ後、部分的なラダー図の作成を担当するなど、何年もかけて担当業務を広げていく。歌野社長は「はじめから多くのラダー図を作成すれば技能の習得は早まるかもしれないが、ベテランが確認・修正する手間が増えてしまう」と難しさを語る。

 そこで考えたのが、若手設計者が経験を積む初期段階においてAIを活用し、ベテラン設計者の負担を軽減する方法だ。歌野社長は「ラダー図をAIで生成できれば、ベテランが1から教えている内容をある程度は習得でき、習得期間の短縮とベテランの負荷軽減を実現できると考えた」と振り返る。

次のページ

中間言語を介してラダー図生成

この記事は有料会員限定です