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日本企業「ブラックボックス戦略」の断末魔、AI時代に慌てても手遅れかもな

日経XTECH / 3/16/2026

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Key Points

  • アナログのブラックボックスは長期の競争優位の源泉だったが、デジタル化はリバースエンジニアリングで模倣されやすく、時代は変わったと指摘する。
  • Komtraxの事例を通じ、日本企業のDXをめぐる古典的成功要因と経営者のIT理解を紹介する。
  • 生成AI時代には暗黙知が脆弱になり、形式知の蓄積と新たな知識獲得が企業の存続に不可欠だと主張する。
  • AI時代にはAIロボットやフィジカルAIの普及も想定され、日本企業はブラックボックス戦略を見直し適応すべきだと展望する。

 「ブラックボックス」と聞くと何を思い浮かべるだろうか。この「極言暴論」の読者なら、長年の保守作業でソースコードがぐちゃぐちゃになった老朽システムだろうか。なんせ、極言暴論ではブラックボックス化した基幹システムの問題を散々取り上げてきたからな。だけど多くの日本企業にとって、本当にヤバいブラックボックスは他にある。昭和時代に日本企業が強みとしてきた「アナログのブラックボックス」だ。生成AI(人工知能)が普及する中、ヤバさを認識しないと日本企業は本当に滅びるぞ。

 まずは話の前提として、アナログのブラックボックスについて実例を紹介しよう。私は日経コンピュータの編集長を務めていた2011年に、大手建設機械メーカーであるコマツの野路國夫社長(当時)にインタビューしたことがある。コマツといえば、建設機械のIoT(インターネット・オブ・シングズ)化を実現した「Komtrax(コムトラックス)」で一世を風靡したよね。客に販売した建機の稼働データなどを自社サーバーに集めて分析する仕組みで、故障診断や運転指導など客が喜ぶサービスの提供や、販売戦略などの立案に役立てている。

 IT/デジタルを活用して新たなビジネスを創出する攻めのDX(デジタルトランスフォーメーション)の古典的成功事例といってよいのが、このKomtraxだ。野路氏はCIO(最高情報責任者)を務めた経歴もあり、当時の日本企業ではビジネスにおけるIT活用の重要性を理解する数少ない経営者の1人だった。あっ、思い出した。そういえば基幹システムについては「製造業としての競争力の源泉ではないからERP(統合基幹業務システム)を導入すればよいだけだ」と話していたな。

 そんなIT/デジタルに詳しい野路氏が最も熱く語っていたのが、アナログ技術のブラックボックス化だ。例えば建機の中でも油圧バルブなどのキーコンポーネントは、加工技術や擦り合わせ技術、仕上げ技術などのアナログ技術の塊であるからこそ、IT/デジタル技術とは異なり、自社の競争優位の源泉としてブラックボックス化できるとのことだった。その結果、韓国や中国などの競合メーカーがまねるのが難しくなる。だから、長期にわたって競争優位を築くことができるというわけだ。

 一方、デジタルの技術は、すぐにリバースエンジニアリングでまねされてしまう。「IT/デジタルになった途端、全ての技術がオープン化されブラックボックスではなくなってしまう」。そんな懸念を野路氏は口にしていた。恐らく当時、日本の製造業でIT/デジタル化の本質を理解する経営者は、似たような懸念を持っていたはずだ。

 確かに昭和時代、日本の製造業はアナログの技術、つまり研究開発や生産現場での独自の創意工夫、技能、ノウハウなどを蓄積し、終身雇用制度によって外部への流出を防ぎ、低コストで高品質な製品を生み出すことで世界を席巻してきた。そんな時代がずっと続けば日本企業もその従業員も幸せだったんだけどね。時代は残酷だ。ブラックボックス、つまり暗黙知を競争優位の源泉にできる時代はとうに過ぎ去ってしまった。必要なのは形式知だ。なんせ生成AIやAIエージェントだけでなく、間もなくフィジカルAI、AIロボットも登場するからな。

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ブラックボックス化がもたらした日本企業の繁栄

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